◎2020年の北米年間興収は、前年比マイナス80%減の約20.8億ドル(2,150億円)にとどまった。
◎2020年の北米興収1位はウィル・スミス主演の「バッドボーイズ フォー・ライフ」だった。
AP通信/映画「バッドボーイズ フォー・ライフ」

2020年、北米の映画市場は記録的な落ち込みを記録した。

北米の映画興収は2015年から5年連続で110億ドル(約1兆2,000億円)を超えていた。しかし、2020年はコロナウイルスの影響で約40年ぶりの低水準にまで落ち込み、業界関係者を震え上がらせている。

ボックスオフィスによると、2020年の年間興収は前年比マイナス80%減の約20.8億ドル(2,150億円)にとどまったという。

また、チケットの販売実績は110~120億ドル(2019年:425億ドル)まで減少し、ハリウッドは厳しい現実に直面した。

ユニバーサル・ピクチャーズの国内劇場配給部門で働くジム・オー氏は、「2020年は他に類を見ない年だった。北米市場がここまで低迷するとは考えてもいなかった」と述べた。

<北米の年間興行収入>
・2015年:111.3億ドル
・2016年:113.8億ドル
・2017年:110.7億ドル
・2018年:118.9億ドル(歴代1位、1兆2,300億円)
・2019年:113.2億ドル
・2020年:20.8億ドル(2,150億円)

2020年
北米興行収入TOP10
興行収入
単位:億ドル
1バッドボーイズ フォー・ライフ2.04
219171.57
3ソニック・ザ・ムービー1.46
4ジュマンジ/ネクスト・レベル0.84
5スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け1.24
6ハーレイ・クインの華麗なる覚醒2.45
7ドクター・ドリトル0.77
8ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語0.70
9透明人間0.65
10野性の呼び声0.62
2019年
北米興行収入TOP10
興行収入
単位:億ドル
1アベンジャーズ/エンドゲーム8.58
2ライオン・キング5.44
3トイストーリー44.34
4アナと雪の女王24.30
5キャプテン・マーベル4.27
6スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け3.91
7スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム3.91
8アラジン3.56
9ジョーカー3.34
10IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。2.12
Disney Marvel/映画「アベンジャーズ:エンドゲーム」

2020年、北米の劇場の大半が春から約6カ月間閉鎖し、その間に公開を予定していた作品は公開日を延期せざるを得なくなった。

サマーシーズンは北米市場が最も盛り上がる時期である。そこで公開される作品は世界に広がり、10億ドル以上の興収を上げる作品も少なくない。

コロナウイルスは北米最大のカリフォルニア市場とニューヨーク市場、そして映画ファンに引導を渡した。

2020年、北米と世界の映画市場を席巻してきたマーベル映画は1本も公開されなかった。

同スタジオは2008年に公開された映画「アイアンマン」から毎年数本ペースで作品を公開してきた。

同作を含むマーベル・シネマティック・ユニバースの世界興収は110億ドルを超え、親会社のウォルト・ディズニーを代表する看板シリーズに成長したが、コロナウイルスを打ち負かすことはできなかった。

2020年の北米興収1位はウィル・スミス主演の「バッドボーイズ フォー・ライフ」で、興収は約2億ドルだった。なお、コロナ禍前に公開された作品がランキングの上位を独占した。

ワーナー・ブラザース/映画「ワンダーウーマン1984」

北米の劇場は8月末頃から少しずつ営業を再開し始めた。しかし、コロナ感染予防対策を取り入れた劇場にかつての活気は戻っていない。

メディアアドバイザリー会社のジョン・スロス氏はABCニュースの取材に対し、「映画館が満席になることはない。人々は社会的距離を確保しなければならない」と述べた。

ジョン・スロス氏:
「コロナウイルスへの感染を恐れ、誰もが
周囲を過度に意識する。現在の状況でかつてのように劇場を機能させることは難しいだろう

ワーナー・ブラザースは2021年に公開する作品をすべてストリーミングサービス「HBOmax」に移行すると発表し、劇場関係者に衝撃を与えた。

他の制作スタジオは大作映画の劇場公開を諦めていないと伝えられているが、コロナウイルスが収束せずワーナーに追随するスタジオが出た場合、劇場はさらに苦しい状況に追いやられるだろう。

ユニバーサル・ピクチャーズのジム・オー氏は、「ワクチンが劇場に人を連れ戻してくれると確信している。映画は劇場で公開される。ストリーミングスタイルが主流になることはない」と述べた。

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