米国連邦航空局(FAA)は、致命的な墜落事故を約半年の間に2回起こしたボーイング737Maxの飛行禁止命令を解除すると発表した。

【737Max墜落事故と飛行禁止命令までの経緯】
・2018年10月29日、ライアン・エア610便、海上に墜落。死者189人(乗客181人、乗組員8人全員)

・2019年3月10日、エチオピア航空302便、墜落。死者157人(乗客149人、乗組員8人全員)

・2019年3月11日、飛行禁止命令発効。

18日、FAAのスティーブン・ディクソン氏は飛行禁止取り消し命令に署名し、「包括的かつ系統だった約20カ月の調査を終えた」と述べた。

ただし、「飛行を許可した後も、737Maxはすぐ空に戻ることはできない」と付け加えている。

ボーイング社は各機体の重要なソフトウェアとコンピュータを更新しており、パイロットがフライトシュミレーターで厳格なトレーニングを受けたのち、737Maxはようやく飛行できる

FAAによると、この取り消し命令は世界中の航空安全規制当局と協力して行ったという。

ディクソン氏は声明の中で、737Maxの安全性に「100%自信がある」と述べた。

スティーブン・ディクソン氏
「人間が行える可能な限りの措置を講じ、同様のクラッシュが二度と起こらないようにした」

ボーイング社のデイブ・カルホーンCEOは、墜落事故以来、飛行機の改良だけでなく会社の安全慣行と文化を強化したと語った。なお、同社の前CEO、デニス・マレンバーグ氏は昨年解雇されている。

デイブ・カルホーンCEO:
「私たちは操業停止の決定につながった2つの悲劇的な墜落事故の犠牲者を決して忘れないだろう」

「墜落事故とその後の命令で学んだ教訓はボーイング社を再形成し、安全性、品質、完全性への追求をさらに高めた」

この発表後、ボーイング社の株価は3.5%上昇して217.38ドルになった。

現在の株価はエチオピアでの墜落直前の2019年3月1日に到達した440.62ドルの約半分だが、コロナウイルスとロックダウンの混乱後に記録した今年3月の95ドルをはるかに上回っている。

Getty Images/ライアン・エア610便、海上で発見された乗客の遺品

米国議会が先月発表した報告によると、「ボーイング社の体質、安全上の懸念を無視する決定、飛行訓練の必要性を含む重要な変更の隠蔽」などが墜落事故につながったという。

また、ボーイング社の監視を怠ったFAAも厳しく非難されている。

その後、議会はFAAを改革する新たな法律を承認した。

ボーイング社は全世界同時飛行禁止命令の費用を200億ドル(約2兆円)と見積もっており、前例のない空の旅の閉鎖、さらなる調査、罰金、訴訟などに対処しなければならない。

飛行禁止命令発効時、737Maxの運用数(世界)は400機ほどだった。ボーイング社はその後も約450機を新たに製造、保管しており、それらは空を飛ぶ前に全てメンテナンスを受ける必要がある。

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