11月3日、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、中東の過激派組織の戦闘員、約2,000人がナゴルノ・カラバフ紛争に加わったと発表した。
この日、アルメニアとアゼルバイジャン両政府は攻撃の応酬を非難し合っている。
ラブロフ外相はビジネス日刊紙コメルサントのインタビューの中で次のように述べた。
セルゲイ・ラブロフ外相
「私たちはナゴルノ・カラバフ紛争の国際化と中東からの過激派の関与を心配している」
「私たちはアルメニア、アゼルバイジャン、その他関係各国に対し、同地に迫る過激派組織の兵士、約2,000人を止めるための策と実行を求めてきた」
ラゴルフ外相はこの過激派組織の関与について、「ウラジミール・プーチン大統領がトルコのタイイップ・エルドアン大統領に問題提起した」と述べた。
ナゴルノ・カラバフは公式にはアゼルバイジャンの領土と認められているが、1994年の停戦以降、アルメニア人によって運営(支配)されている。
攻撃の応酬は9月27日から始まり、これまでに少なくとも数千人が死亡したと伝えられている。
トルコは同盟国のアゼルバイジャンにドローンや長距離ミサイルなどを提供している。
アルメニア当局はトルコが紛争に関与したと主張。シリアから傭兵を派遣し、アゼルバイジャン軍をバックアップしている非難した。
これに対しトルコは、ナゴルノ・カラバフへの戦闘員の派遣を否定した。
一方、シリアの戦争監視員として活動するトルコの野党活動家は、「エルドアン政権が過激派組織の兵士数百名をナゴルノ・カラバフに派遣した事実を確認した」と述べた。
一連の紛争を終結させる国際的な試みはいずれも失敗に終わり、重砲、ロケット、ドローンなどによる激しい戦闘が続いている。
先週、アメリカの仲介で発効した停戦合意も、わずか数分後に破綻したと伝えられている。両国は停戦合意違反について、お互いを繰り返し非難してきた。
ナゴルノ・カラバフ緊急事態省は、「11月3日夜、首都ステパナケルトにロケット弾3発が着弾した」と声明を発表した。
アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領は、「我々には奪われた領土を強制的に取り戻す権利がある。アルメニア軍がナゴルノ・カラバフからの撤退を誓約しない限り、戦いは終わらない」と主張している。
ロシアのラゴロフ外相は、欧州安全保障協力機構(OSCE)の支援の下で国際監視員を配置する可能性について言及し、今後も永続的な停戦を達成するために必要な措置を求め続けると述べた。
ナゴルノ・カラバフについて知っておくべきこと
・2020年10月28日、アゼルバイジャンのバルダ県への空爆(クラスター爆弾)で民間人21人が死亡。
・2020年10月25日、アメリカの仲介による停戦合意が破綻。戦闘再開。
・2020年10月25日、アメリカの仲介でアルメニアとアゼルバイジャンが停戦に合意。
・ロシアのプーチン大統領によると、9月末からの戦闘で少なくとも5,000人が死亡。.
・2020年10月17日。10月9日の停戦合意は破綻し、民間人13人が死亡、40人以上が負傷した。
・約4,400平方キロメートルの山岳地帯。
・キリスト教のアルメニア人とイスラム教徒のトルコ人が生活していた。
・ソビエト連邦時代、ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンの自治区に加えられた。
・公式にはアゼルバイジャンの領土と認められているが、人口の大部分はアルメニア人で構成されている。
・現在、ナゴルノ・カラバフは分離主義勢力(自称当局)に占領されている。
・自称当局は、アルメニアを含む全ての国連加盟国に認められていない。
・1988年から1994年の紛争で約3万人が死亡、推定100万人が避難を余儀なくされた。
・1994年の停戦合意後も膠着状態は続いていた。
・アルメニアは分離主義勢力(自称当局)を認めていない。
・アゼルバイジャンは「分離主義勢力=アルメニア軍」と認識している。
・トルコはアゼルバイジャンを積極的に支援している。
・ロシアはアルメニアに軍事基地を持っている。