バーやレストラン閉鎖命令への抗議
10月9日、スコットランドのバーやレストランの労働者たちは、新たに発出されたコロナウイルス感染拡大防止規制に抗議し、スコットランド議会前に残った氷を遺棄した。
最も人口の多いセントラル・ベルトのバーなどが16日間の閉鎖命令を受け、各地で抗議活動が勃発、グラスゴー市庁舎付近でも氷山が形成された。
スコットランド政府は、コロナウイルスの第二波を封じ込めるべく、厳しい規制に乗り出した。
グレーターグラスゴー、クライド、ローティアン、サウス・ラナークシャーなどの認可されたバーやレストランは、10月25日まで閉鎖しなければならない。なお、テイクアウトは許可される。
9日の夜、グラスゴーのホスピタリティワーカー数十人が市庁舎前で抗議活動を決行、突然の閉鎖命令に憤る抗議者たちはマスクを着用し、大声張り上げた。
抗議活動は過熱し、氷を大量に積み込んだトラックまで登場。人々は沸き、アスファルトはキンキンに冷やされた。
市内のブリスウッドスクエアホテルで働くケイトリン・リー氏はBBCニュースの取材に対し、「アルコールの販売禁止はホスピタリティ業界全体に深刻な影響を与える」と訴えた。
ホスピタリティワーカーは怒っている
ケイトリン・リー氏は次のように訴えた。
ケイトリン・リー氏:
「ホテル内のバーやレストランが営業を禁止すると街の魅力は半減し、客が寄り付かなくなる」
「今、私たちは何をすべきか分からない状況にある。ホスピタリティ業界は第一波で仕事ができない苦労を経験した。そして第二波が始まり、私たちは追いつめられている」
「私たちは売上に大きな影響を与えるクリスマスと新年に働けるのか?」
ホスピタリティ業界で10年働いたクロエ・フレイザー氏はBBCニュースの取材に対し、「この業界は罰せられている」と憤った。
クロエ・フレイザー氏:
「予防対策を無視する違法パーティに参加した人々がコロナウイルスを拡散させた」
「真面目に働いている従業員はどうすればいい?感染予防対策を守らない人々のせいで、私たちは仕事を失った」
「バーやレストランは政府の推奨するスクリーン設置に予算を投じなければならない。しかし、経営者たちは政府の指示に従ってきた。問題は営業時間外に別の場所で大騒ぎし、ウイルスを拡散させる無法者たちだ」
「個人事業主にロックダウンの損失を補填する力はない。私たちは怒っている」
スコットランドの全国臨床ディレクターを務めるジェイソン・リーチ教授は、「打撃を受ける全ての関係者に深く同情する」と語った。
ジェイソン・リーチ教授:
「昨日コロナウイルスに感染した数千人、亡くなった5人と遺族にも深く同情する。今、スコットランドは規制を発出せざるを得ない状況にある」
「私たちは全ての業界が通常通りの状態に戻ることを100%望んでいる。サッカー、その他のプロスポーツ、バー、レストラン、石油、ガス・・・」
「しかし、数値の上昇は止まらない。このままではさらにやりたくない規制を発出することになる。それだけは避けたい」
現在、他の地域のバーやレストランは営業を許可されている。
・日中の営業時間は6:00~18:00、ノンアルコール飲料と食べ物のみ販売可能。
・夜間の営業時間は18:00~22:00まで。当局の認可店のみ、アルコールを販売できる。なお、9月に発出された夜間外出禁止令(22:00~翌6:00)は継続中。
スコットランド政府は、規制の影響で閉鎖を余儀なくされた企業向けの支援パッケージ(約4,000万ポンド/55億円)の詳細を先日公開した。
またイギリスのリシ・スナック財務大臣は、規制の影響で閉鎖した企業従業員に支払われる「賃金の3分の2」を政府が支払うと述べた。
この財政支援パッケージは11月1日から6カ月間限定で実施される予定である。
【イギリスの感染状況/10月11日時点】
累計感染者 | 累計死者 | 新規感染者 (直近) | |
イングランド | 27.9万人 | 36,765人 | 10,772人 |
ウェールズ | 25,852人 | 1,630人 | 766人 |
スコットランド | 37,033人 | 2,544人 | 1,246人 |
北アイルランド | 19,092人 | - | 1,080人 |
スコットランドの新しいコロナウイルスのルール