▽インドのジャンムー・カシミール州で観光客が殺害されて以来、両国間の緊張は一気に高まり、本格的な戦争に発展する可能性も出ている。
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パキスタンの国営テレビは10日、インド軍がパキスタン国内の3つの空軍基地に向けてミサイルを発射し、自軍が報復攻撃を実施中であると報じた。
インドがどの基地を攻撃したかは明らかになっていない。
国営テレビは政府関係者の話しとして、「インドの複数の地域が報復攻撃の標的になっている」と伝えている。
インドのジャンムー・カシミール州で観光客が殺害されて以来、両国間の緊張は一気に高まり、本格的な戦争に発展する可能性も出ている。
この事件はジャンムー・カシミール州近郊の山岳地帯にある観光地で4月22日に発生。正体不明の武装集団が観光客に向けて発砲し、26人が死亡、17人が負傷した。その多くがインド人であった。
インド政府はこの地域に陸軍を派遣し、容疑者を追跡している。
インド政府はこの事件を受け、パキスタン国民に発行したすべてのビザ(査証)を剥奪した。
パキスタンはインドの外交スタッフの削減、両国間で唯一機能している陸上国境の閉鎖、インドとの水共有条約を停止するなどの対抗措置を発表した。
またパキスタンはインドが所有または運営するすべての航空会社の領空への進入を禁じ、インドとの貿易を停止した。インド側も同様の措置を取っている。
インド政府はこの事件にパキスタン政府が関与したと主張しているが、その証拠は示していない。
パキスタン政府は関与を否定し、国連と国際社会に中立的な調査を求めている。
パキスタン軍の報道官は10日、インド軍が国内の3つの空軍基地に向けてミサイルを発射したが、防空部隊がそのほとんどを撃墜したと明らかにした。
また報道官は「インドに対する報復攻撃を継続中である」とした。
それによると、空軍の戦闘機がインド・パンジャブ州の空軍基地に向けて極超音速ミサイルを発射したという。
この攻撃で軍のS-400防空システムを破壊したとのこと。インド側はコメントを出していない。
両国はカシミール地方および戦闘が発生している地域への立ち入りを厳しく制限している。
パキスタン空軍による攻撃の数時間前、インドのモディ(Narendra Modi)首相は国防相、国家安全保障顧問、陸海空軍長官を含む安全保障部門のトップと会談した。
インド首相府が公開した動画(音声なし)には軍の高官とみられる人物がメモを取っている様子が映っていた。
インド軍は6日未明、パキスタンの統治下にあるカシミールに向けてミサイルを発射。パキスタン軍によると、ミサイルはカシミールと東部パンジャブ州に着弾し、女性や子供を含む少なくとも31人が死亡、大勢が負傷したという。
双方はこのミサイル攻撃以来、カシミールの境界で激しい銃撃・砲撃戦を繰り広げており、パキスタンは多数のインド兵を殺害したと主張している。
インド軍参謀本部は8日遅くの声明で、パキスタン軍がカシミールにある3つの軍事基地にミサイル・ドローン攻撃を仕掛けたが、防空部隊が全て撃墜し、死傷者は出なかったと述べていた。
インド当局は戦闘が始まって以来、カシミール地方で19人の民間人が死亡したと報告。パキスタン側は17人の民間人が死亡したとしている。
インドとパキスタンはそれぞれカシミールの一部を管理している。この係争地をめぐる領有権争いが解決する目途は立っていない。
カシミールでは24年9月末頃から暴力事件が急増し、多くの市民が爆弾テロや銃撃戦に巻き込まれてきた。
カシミールの反政府勢力は1989年の武装蜂起以来、中央政府と戦ってきた。カシミールで生活するイスラム教徒の多くがパキスタンへの編入か独立という反政府勢力の目標を支持している。
インド政府は2019年、「歴史的大失態」の是正として、70年間に渡って認めてきたジャンムー・カシミール州の自治権を剥奪した。
ジャンムー・カシミール州はインドで唯一、イスラム教徒が多数派の州であり、ヒンズー政策を推進する政府と何度も対立してきた。
インドは21年、射程5000キロの核搭載可能大陸間弾道ミサイル「アグニ5」の発射実験に成功。これは長距離地対地弾道ミサイルである。
インドは1947年にイギリスから独立して以来、パキスタンと3度の戦争を戦ってきた。これらのミサイルはパキスタンの全国土を射程に収めている。
パキスタンも核保有国であり、中長距離ミサイルの開発を進めている。