▽ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
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中米ハイチの暫定大統領評議会は14日、首都ポルトープランスとその周辺でギャング間抗争が激化する中、27万5000ドルの「軍事予算」を承認した。
暫定大統領評議会は声明で、「この補正予算の40%近くは国家の安定を脅かす武装集団と戦う国家警察と軍隊に、20%はドミニカ共和国との国境を強化するために使われる」と述べた。
さらに16%は教育、保健、人道支援などの社会プログラムに充てられるという。
同評議会はこの予算について、「断固として行動し、増大する暴力に対処するという国家のコミットメントを反映したものだ」と述べた。
しかし、この予算が国連支援ミッションのリソース不足を補う可能性は低いとみられる。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。
ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県では地元のギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。
最新のギャング間抗争は先月初めに勃発。ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら支配地域の拡大を目指しているとされる。
ヴィヴ・アンサムは最近、ポルトープランスから数十キロ離れた中部の2つの町を占領した。地元メディアによると、地元警察はギャングの勢いに圧倒され、町を放棄したという。
警察署は空になり、刑務所はギャングの管理下に置かれ、数百人の受刑者が野に解き放たれた。
AP通信によると、ヴィヴ・アンサムは警察署と刑務所に火を放ったという。この刑務所には533人の受刑者が収監されていたとみられる。
さらに、市内の大学を含む教育機関も閉鎖を余儀なくされ、大勢が町を離れた。
国連支援ミッションによると、25年1月1日から3月27日の間にハイチ全土で1500人以上が死亡、数千人が負傷。この3年間で100万人以上が住居を失ったと推定されている。