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▽M23が主導する「コンゴ川同盟」は2日前、支配下に置いたワリカレから部隊を撤退させると表明していた。
コンゴ民主共和国東部、陸軍の兵士(Getty Images)

アフリカ中央部・コンゴ民主共和国最大の反政府勢力M23(3月23日運動)は24日、国軍とその支援民兵が東部・北キブ州の要衝ワリカレに攻撃ドローンを送り込んできたと主張した。

M23が主導する「コンゴ川同盟」は2日前、支配下に置いたワリカレから部隊を撤退させると表明していた。

国連はこの決定を歓迎、撤退を機に停戦交渉を加速させるよう促していた。

ワリカレの人口約1万5000人。東部最大の都市ゴマの北西約125キロに位置し、第4の都市キサンガニの400キロ圏内にある。

M23は19日深夜にワリカレに入り、ほぼ抵抗を受けることなく中心部に到達。国軍は撤退したとみられる。

東部4州の主要道路がワリカレを通過する。国軍はこの町を失ったことで、東部4州の主要都市にアクセスしづらくなった。

地域の緊張が高まる中、コンゴのチセケディFélix Tshisekedi大統領は18日にルワンダのカガメ(Paul Kagame)大統領と会談。仲介国のカタールおよびアンゴラと共に「即時かつ無条件の停戦」を求める共同声明を出した。

しかし、M23はこれを一蹴し、国軍に武器を置き、チセケディ氏を逮捕するよう求めている。

コンゴ川同盟は1月末に北キブ州ゴマを占領。その後、東部第2の都市である南キブ州ブカブに進軍、制圧した。

M23は2月初めに一方的に停戦を宣言したが、北キブ州と南キブ州ではそれ以降も激しい戦闘が続いている。

コンゴのトゥルカ(Judith Suminwa Tuluka)首相は先月末、東部紛争における今年の死者数が7000人を超えたと明らかにした。

欧米諸国は隣国ルワンダによるM23への軍事支援を非難。一部の国は援助を停止した。

ルワンダ軍はM23を積極的に支援し、ゴマ市内で堂々と活動中。ゴマ郊外でコンゴ軍と交戦中という情報もある。

国際社会はM23のワリカレ撤退で停戦交渉が前進すると期待した。

しかし、M23はワリカレから撤退すると表明してから48時間も経たないうちに国軍を非難。攻撃を強化するとさえ示唆した。

コンゴ川同盟の報道官はSNSへの声明で、「軍と同盟民兵がワリカに攻撃ドローンを送り込んできた」と主張した。

また報道官はワリカレ撤退に言及せず、「卑怯なチセケディは我々の兵士だけでなく、ワリカレの住民も皆殺しにするつもりでいる」と述べた。

政府はこの主張に関するコメントを出していない。

ロイター通信はワリカレの住民の話しとして、「M23は市内にとどまっている」と伝えている。

M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。

しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、13年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。21年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。

コンゴ、米国、国連安保理はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダは長年、この主張を否定してきた。

1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。

M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているものとみられる。ルワンダはコンゴ政府が組織的に大虐殺の加害者であるフツ族を匿っていると主張している。

ルワンダ大虐殺の犠牲者は80万~100万人と推定されている。フツ族の過激派はツチ族だけでなく、フツ族の穏健派も殺害した。

国連はコンゴ国内で活動するルワンダ兵を最大4000人と推定している。

政府とM23による戦争は世界最大級の人道危機に発展。700万人以上が避難を余儀なくされている。

ゴマには国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)の本部と南部アフリカ地域圏の基地があり、郊外の避難民キャンプでは数百万人がテント生活を送っている。

M23はブカブから30キロほど離れた地点にある空港も占拠した。

国際社会はこの紛争が1990年代から2000年代の第2次コンゴ戦争のような規模に発展することを恐れている。この戦争では500万~600万人が死亡したと推定されている。

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