▽ハイチ国連支援ミッションには約800人のケニア国家警察を中心に、ジャマイカ、グアテマラ、エルサルバドルなどの兵士や警察官が参加している。
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国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長は19日、ギャングとの戦いに明け暮れる中米ハイチの多国籍部隊に対する資金提供を国連が引き継ぐよう要請すると表明した。
グテレス氏はバルバドスで開幕したカリブ共同体(CARICOM)会議で演説。「安全保障理事会がこの提案を受け入れれば、ハイチはギャングを倒すことができる効果的な軍隊を持ち、民主主義が繁栄するための条件を整えることができる」と語った。
またグテレス氏は多国籍軍の給与について、「国連の信託基金を通じて支払う」と提案した。
ハイチ国連支援ミッションには約800人のケニア国家警察を中心に、ジャマイカ、グアテマラ、エルサルバドルなどの兵士や警察官が参加している。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
首都ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。中部アルティボニット県では地元のギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。
この結果、100万人以上が住まいを失い、その場しのぎの不衛生なテントやシェルターで避難生活を余儀なくされている。ギャング紛争が始まって以降、国を離れた市民は数十万人と推定され、一部は米国を目指している。
米国やその他の国々は昨年6月に始まった同ミッションの人員と資源が不足していると警告しており、平和維持活動(PKO)への格上げを提案している。
グテレス氏はハイチの現状を「ぞっとする」と評した。
またグテレス氏はギャングを非難。「絶望し、怯える人々に耐え難い苦しみを与えている。私たちは選挙を通じて民主的な制度を回復する、ハイチ主導の政治プロセスのために働き続けなければならない」と強調した。
しかし、一部のアナリストはギャングの暴力が激化する中で選挙を実施するのは危険であると警告している。
ハイチは現在、フィゼメ(Alix Didier Fils-Aimé)暫定首相と26年2月7日に任期満了を迎える9人の暫定大統領評議会によって率いられている。
ハイチは10年間選挙を行えておらず、大統領は空席のままである。