▽米国とイスラエルはICCに加盟していない。
トランプ(Donald Trump)米大統領は6日、国際刑事裁判所(ICC)による米国民やイスラエルなどの同盟国の捜査に携わる人々に経済制裁を科す大統領令に署名した。
ICCは昨年11月、戦争犯罪と人道に対する罪の容疑でネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相とガラント(Yoav Gallant)前国防相、ガザのイスラム組織ハマスの幹部アルマスリ(Mohammed Diab Ibrahim al-Masri)氏の逮捕状を発行した。
ICCの逮捕状はローマ規程(ICCの設立条約)締結国で拘束力を持つ。ICC加盟国は逮捕状が出ている容疑者が自国に足を踏み入れた場合、拘束することが義務づけられている。
米国とイスラエルはICCに加盟していない。
トランプ氏が署名した大統領令は「ICCが米国とその同盟国イスラエルを標的に非合法で根拠のない行動を起こし、ネタニヤフ首相と前国防相に対して根拠のない逮捕状を発行し、権力を乱用している」と非難している。
また大統領令は「ICCには米国やイスラエルに対する管轄権はない」とし、ICCは両国に対する行動で「危険な前例」を作ったと主張している。
トランプ氏は4日、ネタニヤフ氏との共同会見でパレスチナ・ガザ地区を米国主導で「再開発」し、パレスチナ人を他の場所に移住させた後、ガザ地区を占領、所有する用意があると表明した。
ネタニヤフ氏は6日、連邦議会で議会たちと会談した。
今回の大統領令により、制裁の対象となったICC職員は米国内の資産を凍結されたり、渡航を禁じられる恐れが出てきた。
大統領令は「ICCの違反に責任を負う者たちは具体的かつ重大な結果に直面する」としている。その中には財産や資産の凍結、対象者だけでなくその家族や親戚も米国への入国を禁じるとしている。
民主党上院は先月末、ICCに制裁を科す法案の採決を阻止した。
少数派の民主党上院は「フィリバスター」を使って法案の採決を阻止。その回避には5分の3以上(60議席以上)の賛成が必要であり、採決の結果、賛成54ー反対45票でICC制裁法案は破棄された。
フィリバスターは議事妨害を意味し、上下両院での可決が必要となる法案を阻止するため、上院の少数派に与えられた権利である。