カリフォルニア州

カリフォルニア州は森林を燃やす巨大な山火事と戦っている。

ギャビン・ニューサム州知事は、現場で奮闘する12,000人以上の消防士をねぎらい、亡くなった6人に哀悼の意を表した。

8月21日、ニューサム州知事は、オーストラリアとカナダ政府に支援を求めた。なお、全米各州の救援部隊および応援物資は既に手配済みだという。

これまでに発生した560件(箇所)の火災は、乾いた木々と草を焼き尽くした。その中の1件は、カリフォルニアがこれまでに経験した山火事の中で最大規模の被害をもたらしている。

デスバレー国立危険公園の温度計が観測史上最高の54.4℃(正確に測定された値の中で)を記録した日。同地周辺ではこれまでに12,000回以上の落雷が発生した。

ニューサム知事は記者団に対し、「州の危機管理規定に基づき、昨日、非常事態を宣言した。現在、175,000人以上の住民が避難している」と語った。

さらに、「火災のエリアは大きく2つに分けられる。ブロックAは州の歴史の中で7番目、Bは10番目のサイズ(燃焼面積)であり、トランプ大統領に”大規模災害の宣言”への署名を求めた」と付け加えた。

壊滅的な勢いで延焼が広がっている地域は、サンフランシスコの南と東エリアである。

これまでに少なくとも43名の消防士が負傷し、数百の建物が消失。さらに、数千の建物や工作物が炎に脅かされている。

延焼の著しいエリアの大半が立ち入り困難な峻険地であり、さらに、記録的な乾燥と強風が炎を一段と強くしている

ロイター通信によると、炎はカリフォルニア大学サンタクルーズキャンパスから1.6kmの地点に到達し、大学だけでなくサンタクルーズなどの大きな町を脅かしているという。

現在、近隣のオレゴン州、ニューメキシコ州、テキサス州などから消防士、森林消防隊、消防車、消防飛行機などが応援に駆けつけている。

しかし、延焼エリアはあまりに広く、精鋭部隊も酷く消耗しているため、州政府は”世界の最悪の山火事”と戦ったオーストラリアの消防部隊に支援を要請した。

「私はこのような規模の火災を見たことがない。既にロードアイランド州(3,140 km²:東京ドーム67,160個分)と同じ面積が消失した」とニューサム州知事は語った。

カリフォルニア州のコロナウイルス感染者数は65万人超。1カ月前に比べると感染状況は多少落ち着いてきたが、気を緩めることはできない。

避難者たちは、避難所での感染やクラスターを恐れている

CNNの取材に答えた女性は、「バカビルのコミュニティセンターに避難したが、狭いエリアに避難者が密集している状態だった。避難はしたいが、ウイルスへの感染も避けたい。私たちは炎だけでなく、ウイルスからも身を守らねばならない」と述べた。

危機管理庁(FEMA)は、既存のガイドラインにコロナウイルスへの感染予防対策を追加している。

ガイドラインには、「避難する可能性のある人は、少なくともマスクを2つ以上と、消毒液、石鹸、その他消毒関連アイテムを準備したうえで待機してほしい」と記されている。

ただし、炎がすぐそこまで迫っている場合は、命を最優先し、手荷物ゼロで避難所へ直行すればよい。

避難所に避難する必要がある場合は、連邦政府および州政府のガイドラインに従い、感染予防対策を講じる必要がある。

・手をよく洗う。

・家族以外の人とは6フィート(1.82m)距離を保つ。

・可能であればマスクなどで顔を覆う。

・食べ物や飲み物を共有しない。

・自分が避難したスペースを適宜消毒する。

数千人が避難

北カリフォルニア、ヘネシー

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緊急事態

カリフォルニア州の避難所は社会的距離のルールとマスク着用を強制し、自己隔離専用の個別テントも準備している。

また、一部の郡では、基礎疾患を持つ避難者や、コロナウイルスに感染している疑いのある人専用の避難スペースを設置した。

州当局は、「可能な限り早く家族や友人と一緒に避難を検討し、少しでも危ないと感じたら躊躇せず避難所へ向かってほしい」と呼び掛けた。

火災が発生しているエリアおよび風下のエリアは、煙の影響で空気が酷くよどんでいる。州当局の担当者は、「炎から離れているエリアの住民も、極力屋内で待機してほしい」と述べた。

連日続く危機的な酷暑の影響で、カリフォルニア州内の電力需給は逼迫している。

現在、火災エリア近くで生活する数千世帯が計画停電のリスクにさらされている。

州当局は各家庭に対し、「電力の使用量を抑え、計画停電回避に協力してほしい」と呼び掛けた。

一方、州のエネルギー事業者は記者団に対し、「電力需要が記録的に伸びており、供給を圧倒する可能性がある。ブラックアウトを避けるべく対応しているが、各家庭においても、電力の使用量を極力抑えて欲しい」と訴えた。

8月18日の夜には、カリフォルニア州全土で37,000軒以上が停電した。

8月20日、消火活動を行っていたヘリコプターが墜落し、パイロット1名が死亡した。なお、墜落現場は州中央部、コアリンガ市の山中。搭乗していたのはパイロットだけだった。

サンフランシスコとサクラメントの間に位置するバカビル(人口10万人)に炎が接近し、街の一部を焦土に変えた。

消防当局によると、バカビルだけで50以上の建物が焼失。他の建物も危険な状態にあるという。

大量の煙はバカビルから約100km離れたサンフランシスコも覆い尽くした。

カリフォルニア州を代表するワイン生産地、ナパとソノマ郡のぶどう農場でも一部火災が発生した。

アメリカ国内における2020年の山火事発生件数および燃焼面積は、昨年以下の水準を維持している。

ロイター通信によると、2020年のアメリカ国内の燃焼面積は5,700㎢(東京ドーム122,000個分)だという。

ただし、気象当局は例年通りサンタ・アナ風が強まり、延焼エリアに乾燥した空気を供給することで、炎の勢いがさらに増すかもしれない、と警告した。

【関連トピック】
デスバレーの気温が54.4℃に達する

ドライバーによる撮影映像

懸命の消火活動が続く

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