◎イスラム過激派組織「タハリール・アルシャーム機構(HTS)」とその同盟組織は先週、アサド政権の支配下にあるアレッポ県に攻め込み、全土を制圧。正規軍への攻撃を本格化させた。
トルコのフィダン(Hakan Fidan)外相は2日、内戦下のシリア東部で反体制派が攻勢を強めていることについて、アサド(Bashar Assad)大統領に対し、「反体制派と協議し、和平への道を模索すべき」と提案した。
フィダン氏は首都アンカラでイランのアラグチ(Abbas Araghchi)外相と会談。共同記者会見でシリア内戦に言及した。
イスラム過激派組織「タハリール・アルシャーム機構(HTS)」とその同盟組織は先週、アサド政権の支配下にあるアレッポ県に攻め込み、全土を制圧。正規軍への攻撃を本格化させた。
カタールの衛星テレビ局アルジャジーラによると、HTSらは県全土を支配し、中部の要衝ハマに向かって進軍中とみられる。
フィダン氏とアラグチ氏は会談で、ロシアと共にシリアの平穏を取り戻す外交努力を再開することで合意した。
NATO加盟国のトルコはシリア反体制派の主要支援国である。
反体制派はアサド氏の同盟国であるロシアとイランが別の戦争に気を取られているスキを突いた形だ。アサド氏を支援してきたレバノンの過激派ヒズボラもイスラエルとの戦争で弱体化している。
フィダン氏は紛争の再燃について、「トルコが支援する反体制派との対話をシリア政府が拒否しているためだ」と非難した。
またフィダン氏は「このヒートアップはシリアが自国民や合法的な反体制派と和解しなければならないことを示している」と強調した。「トルコは”そのために”必要なあらゆる協議を主導・支援をする用意があります」
ロシアとイランはトルコがシリア内戦終結に向けた努力を妨げていると不満を示している。
軍事アナリストたちは今回の戦闘再燃について、トルコが反体制派を強力に後押しし、アサド政権に圧力をかけて反体制派に有利な和平の実現を目指していると指摘している。
アサド軍とロシアは反体制派への反撃を開始したとみられる。
HTSは内戦下のシリアで活動する反政府組織のひとつ。北西部イドリブ県に本部がある。
シリア内戦の犠牲者は50万~60万人と推定されている。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。