◎トランプ氏は先週初め、メキシコとカナダの麻薬・移民流入対策に不満を示し、1月20日の就任初日にカナダ、メキシコ、中国の全輸入品に関税を課すと表明した。
トランプ次期米大統領(左)とカナダのトルドー首相(Getty Images)

カナダのヒルマン(Kirsten Hillman)駐米大使は1日、トルドー(Justin Trudeau)首相はトランプ(Donald Trump)次期米大統領との会談で、移民や麻薬の問題におけるカナダの取り組みを説明し、理解してもらうことに成功したと明らかにした。

両氏は11月29日、フロリダ州のマー・ア・ラゴで夕食を共にした。

ヒルマン氏はAP通信のインタビューで、「トルドー首相はトランプ次期大統領と主要閣僚候補に、米国への麻薬や移民の流入をめぐってカナダとメキシコを比較するのはおかしいと説明し、理解を得た」と語った。

またヒルマン氏は「今回の会談はトランプ氏にカナダへの関税をやめさせる重要ステップであり、大きな成果を上げたと確信している」と述べた。

トランプ氏は先週初め、メキシコとカナダの麻薬・移民流入対策に不満を示し、1月20日の就任初日にカナダ、メキシコ、中国の全輸入品に関税を課すと表明。カナダとメキシコは25%、中国には10%の追加関税を課すとしている。

ヒルマン氏によると、トルドー氏はトランプ氏に直接電話をかけ、トランプ氏がディナーに招待したという。

ヒルマン氏もこれに同席。トランプ氏に対し、「米国のカナダとメキシコ国境で起きていることは全く異なり、比較にならない」と訴えたと明らかにした。

トランプ氏は両国に対し、移民と麻薬の流入を阻止するよう求めている。

メキシコの麻薬カルテルは中国やインドから合成オピオイドの前駆体化学物質を輸入。国内で加工し、米国などに密輸している。

オピオイド系鎮痛剤オキシコンチン、パニック障害治療薬ザナックス、アデラルなどにはしばしばフェンタニルが混入しており、その多くが米国に流れ、社会問題になっている

フェンタニルは2ミリグラム服用しただけで死に至る可能性があり、その効果はモルヒネの100倍といわれている。

ヒルマン氏は「トランプ氏はカナダとメキシコの国境で起きていることは全く違うというトルドー首相の訴えを完全に理解してくれた」と述べた。

ヒルマン氏によると、国境に関する懸案事項がディナーの話題の大半を占めたという。ヒルマン氏は「トルドー首相の目標はこのディナーでトランプ氏にその違いを理解してもらうことだった」と述べた。

カナダ当局によると、カナダから販売目的でフェンタニルが米国に流れたという情報はなく、国境で押収されたフェンタニルはごくわずかだという。

米当局は昨年国内で押収したフェンタニルの99.8%をメキシコ産と報告している。

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