◎ラマポーザ氏はスキャンダルを乗り越え、犯罪捜査が続いていた今年6月に再選を果たした。
南アフリカの検察庁は10日、2年以上前に発覚したラマポーザ(Cyril Ramaphosa)大統領のスキャンダルについて、ラマポーザ氏が刑事責任に問われることはないと明らかにした。
地元メディアはこのスキャンダルを米国のウォーターゲート事件をもじって、「ファームゲート事件」と呼んでいる。
元国家安全保障局長官のフレイザー(Arthur Fraser)氏は22年6月、ヨハネスブルグの警察署に書簡を提出し、ラマポーザ氏の農場に400万ドル以上の外貨が隠されていると告発した。
フレイザー氏によると、ある強盗が米ドルを含むこの外貨を盗んだものの、その後拘束され、ラマポーザ氏から口止め料を受け取り、姿を消したという。
フレイザー氏は書簡の中で、「ラマポーザ氏は警察と税務当局に事件を届けず、隠蔽した」と説明した。
またフレイザー氏は、「ラマポーザ氏は盗難を報告する代わりに、大統領警護隊のメンバーに窃盗犯を追跡させ、誘拐し、金の存在を口止めするために賄賂を贈るよう命じた」と主張した。
この窃盗事件は2020年初頭、同国北部の田舎町にあるラマポーザ氏が所有する農場で発生。この事件を知る者はフレイザー氏の申し立てがあるまで口止めされていた。
そのため、ラマポーザ氏は窃盗と農場に現金が隠されていたことを認めざるを得なくなった
ラマポーザ氏はこの外貨について、「農場で得た収益」と説明。不正行為を否定した。
ラマポーザ氏はスキャンダルを乗り越え、犯罪捜査が続いていた今年6月に再選を果たした。
ラマポーザ氏は71歳。この事件を受け、マネーロンダリング、脱税、外貨法違反でも告発された。
警察はラマポーザ氏の農場から現金を盗んだとして2人の男女を逮捕。うち1人はこの農場の元スタッフであった。