◎軍政は先月中旬、コレラの流行を宣言した。
スーダン、紅海沿岸の都市ポートスーダンの避難所(Getty Images)

アフリカ北東部・スーダンでコレラが大流行し、この1カ月で少なくとも430人が死亡、1万4000人が罹患し、難民キャンプで治療を受けている。

同国の保健省は25日、首都ハルツームや紅海沿岸の都市ポートスーダンなどで感染者が多数確認されていると明らかにした。

コレラは感染性下痢症のひとつで、治療せずに放置すると数時間で死に至ることもある。コレラ菌に汚染された水を飲んだり食品を食べたりすることで感染する。

軍事政権によると、先月の大雨後にコレラ患者が急増し始めたという。軍政は先月中旬、コレラの流行を宣言した

ポートスーダンの北方約40キロに位置するダムは先月末に決壊。ダム周辺および下流の約70の集落が被害を受け、うち20の村が完全に押し流されたと伝えられている。

被害の全容は明らかになっておらず、正確な死傷者も不明。国連人道問題調整事務所(OCHA)は約5万人が住居を失ったり、高台への避難を余儀なくされていると報告していた。

軍政と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」は昨年4月からハルツームなどの支配権を争っている。

この内戦は世界最悪の人道危機に発展。人口の5割強にあたる約2500万人が食料不足に喘ぎ、世界保健機関(WHO)は2万人以上が死亡、数万人が負傷したと推定している。

激戦が続く西部ダルフール地方では複数の地域で餓死者が出ているという情報もある。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。

コレラは内戦で疲弊しているスーダン人の苦しみをさらに深刻なものにしている。避難を余儀なくされた900万人以上が国連や国際NGOの支援を受け、何とか生き延びている状態だ。

国連によると、同国の医療システムは完全に崩壊し、ハルツームの中心部ですら、治療を受けられない状態となっている。

国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」は軍政とRSFが相手の支配地域にある病院を攻撃していると非難しているが、双方はこれを否定している。

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