◎中止の理由は明らかになっておらず、タリバンもコメントを出していない。
アフガニスタンのタリバン暫定政権がポリオワクチン接種キャンペーンを中断した。国連が16日、明らかにした。
それによると、タリバンは9月のキャンペーンが始まる直前に国連に中止を通知したという。
中止の理由は明らかになっておらず、タリバンもコメントを出していない。
ポリオは脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。
死亡率はワクチン未接種の小児で2~5%、成人は15~30%、特に妊婦は重症化リスクが高い傾向にある。
アフガンと隣国パキスタンは世界で唯一、ポリオを根絶できていない。パキスタンの接種キャンペーンは定期的に暴力に見舞われている。
タリバンの決定は周辺国への亡命を希望する市民にも影響を与える可能性がある。
世界保健機関(WHO)は声明で、「タリバン当局は医療従事者が戸別訪問するより、モスクのような場所で集団接種してはどうかと提案していた」と述べた。
WHOは今年、アフガンで18人のポリオ感染者を確認。昨年通年の感染者は6人であった。
タリバンを含むイスラム過激派やその他武装勢力は米中央情報局(CIA)が国際テロ組織アルカイダの創設者ビンラディン(Osama bin Laden)を追跡する際に偽のワクチン接種活動を行ったことで、ポリオワクチンを敵視するようになった。
過激派はワクチンを「西洋の陰謀」「イスラム教徒を不妊化するウイルス」などと呼び、医療関係者らを標的にしている。