◎政府は2019年、政情不安の中で発生した停電も敵対勢力のせいにしたが、その後、山間部の送電線が山火事で破損していたことが明らかになった。
ベネズエラの首都カラカスといくつかの州で8月30日、大規模な停電が発生した。
地元メディアによると、停電は午前4時50分頃から始まり、各地に広がったという。
マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領はこの停電を「外国勢力による妨害行為」と非難したが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。
大統領府の報道官はテレグラムに声明と動画を投稿。「誰もベネズエラ国民の平和と平穏を奪うことはできない」と述べた。
また報道官はこの停電に外国勢力と野党が関与していると主張。「全24州が何らかの影響を受けたのはマドゥロ大統領を追い出したい勢力の必死の攻撃である」と述べた。
「敵の侵略に打ち勝つため、団結して停電に打ち勝ちましょう!」
現地メディアによると、カラカスの停電は夕方までにおおむね解消したという。
マドゥロ氏は30日夕方、国営メディアのインタビューで、国民の忍耐に感謝した。
この停電により、多くの企業が活動停止を余儀なくされ、病院は発電機に頼り、カラカスの地下鉄は閉鎖され、数十万人が足止めを食らった。
政府は2019年、政情不安の中で発生した停電も敵対勢力のせいにしたが、その後、山間部の送電線が山火事で破損していたことが明らかになった。
ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
現在のGDPはピーク時の4分の1となり、その結果、800万人近くが国外に流出。その多くが他の中南米諸国を経由して米国への移住を目指している。