◎リチウムは自動車、スマートフォン、コンピューターなどの電子機器類に使われる非常に価値の高い鉱物であり、「ホワイトゴールド」と呼ばれている。
セルビア・ベオグラードで10日、ブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領が推進するリチウム採掘に抗議する集会が開かれ、数万人が参加した。
政府はこれを「反逆」と呼び、市民に対し、参加しないよう呼び掛けていた。
ブチッチ氏は今週、ロシアの情報機関から「セルビアで大規模な騒乱とクーデターを画策する不特定多数の西側勢力がこの抗議デモを主導しているという情報を得た」と主張していた。
デモ隊は「採掘やめろ」「ブチッチやめろ」「反逆者ブチッチ」などと唱和した。
現地メディアによると、集会は平和的に終了。うち数百人が市内にある2つの駅に向けて行進し、政府がリチウム採掘を公式に禁止するまで鉄道の運行を妨害すると主張したという。
ブチッチ氏寄りの国営テレビはこのデモをウクライナのマイダン革命(2013年)になぞらえ、大規模な反対キャンペーンを開始した。
デモに参加した男性はAP通信の取材に対し、「私たちは平和的に声を上げているが、政府は私たちがクーデターを企てていると偽情報を流し、参加者を誹謗中傷している」と語った。
このデモは西部の緑豊かな農村地帯にあるリチウム鉱床の採掘を許可するという政府の計画に反対して、全土の数十の都市で数週間前から行われている。
この計画は2年前、デモ隊がベオグラードの幹線道路や橋を何日も占領した後、取り消された。しかし、政府は先月、この計画を復活させた。
EUはセルビア政府と「重要原材料」に関する暫定協定を結んでおり、これが計画を後押ししたと指摘する専門家もいる。
リチウムは自動車、スマートフォン、コンピューターなどの電子機器類に使われる非常に価値の高い鉱物であり、「ホワイトゴールド」と呼ばれている。