◎アラカン軍は先週、ラカイン州にある軍政の前哨基地をひとつ残らず制圧すると宣言。総攻撃の準備を進めているものとみられる。
ミャンマー、西部ラカイン州(Getty-Images)

ミャンマー軍政が西部ラカイン州シットウェ近郊の複数の集落に退去命令を出し、民主派勢力の攻撃に備えているようだ。地元の独立系メディアなどが11日に報じた。

それによると、軍政はシットウェに向け前進している「アラカン軍」を食い止めるために、複数の集落を空にし、防衛線を構築しようとしている。

アラカン軍は先週、ラカイン州にある軍政の前哨基地をひとつ残らず制圧すると宣言。総攻撃の準備を進めているものとみられる。

アラカン軍はラカイン族の軍事組織で、よく訓練され、ラカイン州内にある軍政の基地に対し、半年ほど前から攻撃を続けている。

ラカイン州は内戦の中心地となっており、アラカン軍を含む反体制派ゲリラが優位に立っているものとみられる。

アラカン軍、東部カレン州の少数民族ゲリラ「カレン民族同盟(KNU)」、チン州の反体制派「チン民族戦線(CNF)」などからなる民主派勢力は昨年10月、中国国境に近い北部で反攻を開始。複数の地域から国軍を追い出した。

民主派勢力の支配地域は拡大し続け、中国国境沿いの北東部の広い範囲を占領。投降した一部の兵士を取り込むことに成功した。

アラカン軍はラカイン州の主要都市ブティダウンを制圧。この町はバングラデシュと国境を接する交易の要衝であり、軍政の拠点が複数あるとされる。

民主派勢力は主に郊外の州で攻勢を強めているが、州都を制圧したことはまだ一度もない。

シットウェは第2の都市マンダレーの南西約340キロに位置する。ここを支配すれば、民主派勢力はベンガル湾に容易にアクセスできるようになる。

アラカン軍はラカイン州の17の主要都市のうち9つを制圧。隣のチン州でも他のゲリラと協力して1つの町を制圧した。

アラカン軍は今月初め、まだ制圧していないラカイン州の8つの町にある軍政の前哨基地を攻撃すると宣言した。

地元メディアによると、アラカン軍はシットウェと隣接する3つの町を全て制圧したという。

シットウェの北西約15キロに位置する集落の住民はAP通信の取材に対し、「9日に陸軍兵士が現れ、理由を明らかにせずに5日以内に村から立ち去るよう村長らに命じた」と語った。その後、退去期限は3日以内に短縮されたという。

軍政を率いるフライン(Min Aung Hlaing)司令官は3年前の政変以来、最大の危機に直面しており、兵士の離反や逃亡が相次いでいることを受け、最近徴兵制を導入した。

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