◎ゴールデントライアングルの政情は不安定であり、ミャンマーの政変が麻薬の密売に拍車をかけたという専門家もいる。
国連薬物犯罪事務所(UNODC)は28日、東アジアと東南アジアで昨年押収された違法薬物の量が過去最高の190トンに達したと発表した。
UNODCは28日に公開したレポートで、「タイ、ミャンマー、ラオスの国境地帯ゴールデントライアングルが違法薬物製造・取引の拠点になっている」と明らかにした。
この地域はアヘンの栽培で知られ、ヘロインの製造拠点が多数存在するとされる。
UNODCの東南アジア・太平洋地域担当はAP通信の取材に対し、「ゴールデントライアングルの生産規模は過去に類を見ない規模になっている」と語った。
それによると、この地域で生産される麻薬の取引額は年間800億ドル(約12兆5700億円)と推定されている。
ゴールデントライアングルの政情は不安定であり、ミャンマーの政変が麻薬の密売に拍車をかけたという専門家もいる。
ミャンマーの国境はほとんど無法地帯であり、麻薬カルテルや密売人が取り締まりを受けることなく活動している。
UNODCによると、ミャンマー国境はこの数十年、メタンフェタミン系薬物の震源地になっている。
UNODCは報告書の中で、「東アジアと東南アジアで昨年押収されたメタンフェタミンの総量は過去最高の190トンに達した。その約89%が東南アジア、ゴールデントライアングルから持ち込まれたものであった」と述べている。
メタンフェタミン(俗称メス、スピード、チョークなど)はアンフェタミンより依存性が強く、簡単に作ることができるため、ヘロインに取って代わり、東南アジア・中東・西欧の主要な違法薬物となった。
押収された190トンのうち98.3トンがメス錠剤約11億錠。90トンがメス結晶であった。押収量はいずれも過去最高となっている。
エクスタシー(合成麻薬MDMA)の押収量も過去最高の約2670万錠。そのほとんどが欧州から輸入されたものであった。