◎バルチスタン州では四半世紀ほど前から国軍と分離主義勢力による紛争が続いている。
パキスタン南西部バルチスタン州に拠点を置く分離主義勢力「バルチスタン解放軍(BLA)」の関連組織とされるBNA(Baluch National Army)の首長と戦闘員約70人が投降した。現地メディアが20日に報じた。
それによると、首長らは州都クエッタのテレビ局に姿を現し、記者会見を開いたという。
バルチスタン州では四半世紀ほど前から国軍と分離主義勢力による紛争が続いている。BLAなどの反乱軍は州の資源を分配するよう中央政府に求めていたが、後に独立を求めて反乱を起こした。
中央政府はBLAとBNAをテロ組織に指定している。
首長とみられる男は記者団に対し、「治安当局や民間人に対する数多くのテロの責任を痛感している」と語った。
中央政府はバルチスタン州や北西部カイバル・パクトゥンクワ州などで対テロ作戦を強化しており、この投降は追い風になる可能性がある。
パキスタンの情報機関「3軍統合情報部」は今年初め、BNAの創設にかかわったとされるもうひとりの首長を逮捕したと発表していた。
BNAの報道官とされる男はクエッタの記者団に対し、「我々は身代金目的の誘拐や非武装の市民の殺害に関与したことを深く反省している」と語った。
また報道官は「中央政府の取り締まりに協力する用意がある」と述べたが、「それは司法取引か?」という記者団の質問には答えなかった。
AP通信によると、記者会見に同行したバルチスタン州の警察当局は記者団の取材を無視したという。
首長らが身柄を拘束されたかどうかは不明。APによると、首長らは手錠をしていなかった。
首長とみられる男は「当局との話し合いの結果、武器を置くことを決意した」と述べたが、当局が情報と引き換えに恩赦を与えるかどうかには明言を避けた。
また首長とみられる男は「BLAは外国から資金援助を受けており、隣国インドの後ろ盾があることを知り、闘いを放棄する気になった」と語った。
インド政府はこの主張に関するコメントを出していない。
一部の専門家はパキスタン政府と係争地カシミールをめぐる問題で争っているインド政府がBLAに資金を提供し、紛争を煽っていると指摘。その混乱に乗じてカシミール問題を有利に進めたいのではないか、という見方を示している。