◎バングラは長年にわたり安定した経済成長を維持してきたが、インフレ率の上昇が大きな課題となっている。
バングラデシュの首都ダッカで10月31日、数千人の衣料品工場労働者が最低賃金の引き上げを求めて街頭に繰り出した。
バングラデシュ縫製品製造業・輸出業協会(BGMEA)によると、同国は中国に次ぐ世界第2位の衣料品生産国で、国内に約3500の工場があり、約400万人が働いている。
衣料品労働者の最低月額賃金は8300タカ(約1万1400円)。BGMEAによると、労働者の大半が生活に困窮し、残業代で何とか生活費を工面しているという。
BGMEAは政府に最低月額賃金を2万3000タカまで引き上げるよう要求。政府は25%引き上げを提案したため、デモに至った。
バングラは長年にわたり安定した経済成長を維持してきたが、インフレ率の上昇が大きな課題となっている。
何百もの工場がある市中心部の地区では怒れる労働者が政府に抗議し、バスや商店に石を投げる者もいた。
市中心部の広場に集まった数千人は賃上げを求めるスローガンを唱えた。
市内の縫製工場で働く女性はAP通信の取材に対し、「給料はほぼ全て食事に充てているが、NGOの支援がないと苦しい」と語った。
地元メディアによると、いくつかの地区で労働者と機動隊が衝突し、少なくとも2人が死亡したという。
ダッカではハシナ政権に抗議する野党主催の集会も開かれており、数万人が参加。複数の地区で暴動が発生したと伝えられている。
バングラにおける欧米への衣料品輸出額は年間約550億ドル。