◎ヨルダンやサウジアラビアを含む多くの湾岸諸国がシリアのアサド政権が主導するカプタゴン(アンフェタミン系薬物)の製造・密売に深刻な懸念を表明している。
シリア南部のヨルダン国境付近にある麻薬工場がミサイル攻撃を受けた。地元のNGOなどが8月31日、明らかにした。
それによると、この空爆にはヨルダン軍が関与しているものとみられる。
ヨルダンの国営メディアはこの数週間、「シリアの麻薬を積んだドローンが何度も領空を侵犯し、撃墜されている」と報じていた。
ヨルダンやサウジアラビアを含む多くの湾岸諸国がシリアのアサド政権が主導するカプタゴン(アンフェタミン系薬物)の製造・密売に深刻な懸念を表明している。
カプタゴンは「貧乏人のコカイン」と呼ばれ、湾岸諸国や欧州などで人気を集めている。シリア内戦でもカプタゴンが出回り、多くの戦闘員が恐怖心を薄れさせるために使用したとされる。
AP通信はシリア南部で活動する活動家の話しとして、「ヨルダン軍は違法薬物をヨルダンに密輸しようとする麻薬密売組織の拠点を空爆した」と伝えている。
イギリスのNGOシリア人権監視団も南部の工場がミサイル攻撃を受けたと報告。国営シリア・アラブ通信(SANA)は南部の農場が空爆を受けたと伝えた。いずれも死傷者の報告はない。
ヨルダン政府はシリア領内への空爆を否定も肯定もしていないが、麻薬密売組織への取り締まりに武力を行使する可能性があると何度か示唆している。
ヨルダン政府は今回のミサイル攻撃に関する声明を出しておらず、国営メディアも特に報じていない。
米国を含む西側政府はアサド(Bashar al-Assad)大統領やその他政府関係者がカプタゴンの密売を主導していると非難し、その親族、レバノンの麻薬組織、ビジネスマン、その他シリア国内の関係者に制裁を科している。