◎ハシナ政権は2018年にデジタル法を公布。これを誤報、偽情報、国民の権利を損なう悪意のある行為と戦う法律と説明している。
バングラデシュの警察当局は29日、虚偽のニュースを広めたとされるジャーナリストをデジタルセキュリティ法違反で逮捕したと発表した。
内務省によると、この記者は地方紙「Prothom Alo」が今月26日に掲載した記事で「偽情報」を発信したという。
記者は記事の中で日雇い労働者の言葉を引用し、「生きるのに精一杯で独立記念日(1971年3月26日)を祝う気になれず、独立記念日自体意味がない」と書いている。
一部のSNSユーザーはこの記事に添えられた写真が演出のように見えると批判。Prothom Aloはその後、記事と写真を修整した。
この記事はソーシャルメディアで広く共有され、好意的な意見も多数寄せられた。しかし、後発開発途上国からの卒業を目指すハシナ(Sheikh Hasina Wajed)首相は納得しなかったようだ。
内務省報道官はこの記事を「虚偽、捏造、悪意がある」と説明したが、どこに問題があったかは明らかにしなかった。
AP通信によると、警察は29日早朝に記者の自宅を家宅捜索し、ノートパソコンと携帯を押収。記者を逮捕したという。
野党はこの逮捕劇を一斉に批判した。
ジア(Khaleda Zia)元首相が率いるバングラデシュ民族主義党の報道官はSNSに声明を投稿。「この記者はどんな罪を犯したのか?」と書き込み、政府に即時釈放を要求した。
ハシナ政権は2018年にデジタル法を公布。これを誤報、偽情報、国民の権利を損なう悪意のある行為と戦う法律と説明している。
人権団体や活動家はこの法律が反体制派やジャーナリストを弾圧するために悪用される非難している。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)もこの法律が「言論の自由に打撃を与える」と指摘している。