◎イラン指導部は当初、西側のメディアがこの事件を取り上げると、「フェイクニュース」と否定していた。
イランのライシ(Ebrahim Raisi)大統領は1日、多くの女子学生が有毒ガスで体調を崩した事件を調査するよう命じた。
地元の人権団体などによると、昨年11月以降、全国の約30の学校で女子学生数百人が体調を崩したという。その一部は寝たきりの状態になったと報告されている。
イラン指導部は当初、西側のメディアがこの事件を取り上げると、「フェイクニュース」と否定していた。
AP通信によると、学生たちは頭痛、動悸、息切れ、めまい、吐き気、動けなくなるほどの倦怠感を訴えているという。ある学生は「教室内で洗浄剤の臭いがした」とSNSに投稿している。
イラン指導部は隣国のアフガニスタンとは異なり、女子教育を認めてきた。1979年のイスラム革命の最中でも、女子学生は学校に通い続けたのである。
国営イラン通信(IRNA)によると、ライシ氏は1日の閣議で、関係省庁にこの事件を調査し、結果を速やかに公表するよう命じたという。
政府がこの事件を公に取り上げたのは初めて。
閣議の前夜、安全保障当局の高官はこの事件を軽視し、「イラン滅亡を企てる敵の心理戦」と主張していた。
イランでは昨年9月に発生したクルド人女性のアミニ(Mahsa Amini)がヒジャブ(スカーフ)を適切に着用していないという理由でテヘランの警察当局に暴行を受け、その後死亡した事件以来、混乱が続いている。
この毒ガス事件は抗議デモが続く中で発生し、「ヒジャブ強制に反対する女子学生が狙われている」という噂が流れた。
IRNAはこの事件をほとんど取り上げなかったが、最近になって複数の記事を掲載した。当局もこの事件が新たな火種になることを恐れているようだ。
イランの検察当局は1日、犯罪行為の可能性があるとして、事件を調査すると発表した。IRNAは保健省高官の発言を引用し、「女子校の閉鎖を望む何者かが事件に関与している可能性がある」と報じている。
イラン政府はアフガンのタリバンに女子の就学を認めるよう呼びかけたことがある。