◎「アフリカの北朝鮮」と呼ばれるエリトリアは世界で最も閉鎖的な国のひとつであり、西側の告発を無視し続けている。
エリトリアのアフウェルキ(Isaias Afwerki)大統領は9日、ケニアの首都ナイロビでルト(William Ruto)大統領と会談し、エチオピア北部の紛争に言及した。
アフウェルキ氏はエリトリア軍がティグライ州の大量虐殺に関与したという西側の主張を「空想」と一蹴した。
「それはファンタジーです。西側の皆さんは捏造工場でファンタジーを製造しています」
エチオピア軍とティグライ州を実行支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)の紛争は2020年11月に本格化し、民間人数万~最大60万人が死亡、数百万人が国内避難民となり、数万人が近隣諸国に逃れたと推定されている。
政府とTPLFは昨年11月に和平協定を結んだものの、エチオピア軍と共にティグライ州に攻め込んだエリトリアは協定に参加しておらず、協定履行の大きな課題になっていた。
米国、人権団体、TPLFなどはエリトリア軍が民間人虐殺やレイプに関与したと告発している。地元の人権団体によると、エリトリア軍は和平協定が結ばれた後も犯罪行為を続けているという。
「アフリカの北朝鮮」と呼ばれるエリトリアは世界で最も閉鎖的な国のひとつであり、西側の告発を無視し続けている。
アフウェルキ氏は記者から「エリトリア軍はティグライ州に駐留し続けているのか?」と尋ねられると、「私はこの問題に干渉するつもりはない」と主張した。「皆さんはエチオピアとエリトリアの紛争を期待しているようですが、私はティグライ州の問題にかかわるつもりはありません...」
またアフウェルキ氏は「エリトリアを巻き込むな」と強調した。「ファンタジーでエリトリアを巻き込まないでください。私たちは紛争に関与したくありません。西側の皆さんはエチオピアの重要な和平プロセスを破壊しないでください」
ケニアのルト大統領はエチオピアの和平プロセスに「大きな進展、とてつもない進歩」があったと主張した。ケニアのケニヤッタ(Uhuru Kenyatta)前大統領は和平交渉を主導した指導者のひとりであった。
エチオピアのアビー・アハメド(Abiy Ahmed)首相はエリトリアとの和平を確立したとして、2019年にノーベル平和賞を受賞。紛争はその1年後に勃発した。
エチオピアとエリトリア両政府はアビー氏が就任する以前からTPLFを「共通の脅威」とみなしていた。
エリトリアとケニアは往来時に必要なビザを廃止することで合意した。ケニア政府はエリトリアの首都アスマラに外交使節団を派遣・常駐させる予定だ。
ルト氏は演説の中で、「エチオピア・スーダン・南スーダンに関する問題でエリトリア政府と協力することを楽しみにしている」と語った。