◎1機あたりの価格は約8500万ドル(111億円)。
カナダ政府は9日、米航空防衛機器大手ロッキード・マーチンの戦闘機「F-35ライトニング」88機を購入する契約を結んだと発表した。
最初の4機は2026年に納入される予定。
政府はこの契約のために約190億カナダドル(約1兆8700億円)の予算を計上しており、空軍への投資としては過去30年で最大規模となる。
1機あたりの価格は約8500万ドル(111億円)。
カナダは米国と緊密な防衛関係を結んでおり、北米大陸の空域を防衛するために戦闘機を共有することもある。
トルドー(Justin Trudeau)首相は11日にメキシコでバイデン(Joe Biden)米大統領と首脳会談を行う予定だ。
政府は昨年、老朽化したF-18に代わる新しい戦闘機の購入について、ロッキード社とボーイング社による競争入札で決めると発表した。
またF-18の使用期間を2032年まで延長するために、オーストラリアのF-18を数機購入していた。
トルドー氏は首相に就任する前、「カナダはF-35を購入しないだろう」と述べていた。保守党の前政権はF-35の購入を決めていたが、トルドー氏の自由党は政権奪取後、方針を見直し、競争入札に変更したのである。
アナンド(Anita Anand)国防相は、「ロシアの違法かつ不当なウクライナ侵攻や、インド太平洋地域で自己主張を強める中国など、世界が様々な困難に直面する中、このプロジェクトの意義、特に同盟国との共同防衛の重要性が高まってきた」と述べている。
またアナンド氏は「NATO加盟国の義務を果たす必要がある」と強調している。
一部のアナリストはドイツを含む多くの西側同盟国がF-35の購入を決めていることから、カナダの選択も必然と言えると指摘している。
バイデン氏は11日の首脳会談でこの投資にも言及するとみられる。
F-35はテキサス州フォートワースで製造されている。カナダ政府の試算によると、F-35の維持と運用には3300人の新たな要員を確保する必要があり、同国の経済に大きな利益をもたらすという。