◎ふたりは今年、歴史的な裁判で世界の注目を集めた。
米国の俳優ジョニー・デップ(Johnny Depp)さんの弁護士は19日、元妻アンバー・ハード(Amber Heard)さんとの名誉棄損訴訟で和解に達し、ハードさんが和解金100万ドルの支払いに応じたと明らかにした。
ふたりは今年、歴史的な裁判で世界の注目を集めた。
米バージニア州の裁判所は6月、デップさんの主張を認め、ハードさんに1500万ドルを支払うよう命じた。
ハードさんの弁護士も19日に声明を発表。「ハードさんは誤りを認めたわけでも、譲歩したわけでもない」と説明した。
ハードさんは今月初めに控訴し、陪審員に評決を覆すか、新しい陪審員を選び、白紙の状態で裁判を行うよう求めていた。
しかし、ハードさんの弁護士は「米国の法制度に失望したため、和解を選択した」と語った。
弁護士はハードさんの声明を引用し、「良くても再審という弁護士の判断には到底納得できないが、これ以上つらい戦いを続けたいとは思わない」と述べた。
デップさんはワシントン・ポスト紙が2018年に掲載した記事の中で、ハードさんが「家庭内暴力を(受けた女性を)代表する公人になった」と主張したことに激怒し、訴訟を起こした。
ハードさんは記事の中でデップさんの名前には触れていないが、デップさんは記事のせいで名誉、名声、ファン、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」フランチャイズ、映画「ファンタスティック・ビースト」シリーズを失ったと主張した。
6週間にわたって生中継された裁判は世界の注目を集めた。ふたりは全く異なる主張を展開し、どちらも相手の不品行と暴力を非難した。
デップ氏さんはハードさんが精神・身体・性的虐待を受けたと主張する証言を厳しく非難し、暴力を受けたのは自分と主張。ハードさんはデップさんから平手打ちされ、押し込まれ、髪を引っ張られ、手榴弾のようにボトルを投げつけられたと応戦した。
陪審員はデップさんの主張を支持し、ハードさんに賠償を命じた。
この判決は2年前に行われたイギリス裁判とは全く異なるものであり、一部の法律専門家を驚かせた。ロンドン高裁はハードさんの主張を支持し、デップさんの控訴を退けていた。
デップさんの弁護士はBBCニュースの取材に対し、「デップさんはこの痛ましい章に幕を下ろすことができて満足している」と語った。弁護士によると、デップさんは和解金100万ドルの大半を慈善団体に寄付する予定だという。