◎労組は政府と企業に賃上げを求めている。
2022年12月13日/イギリス、ロンドンの駅前、スト中の労組(Kin Cheung/AP通信)

イギリス政府は18日、複数の公共部門労組がストライキを実施し、救急車や国境警備の要員が不足するため、穴埋めとして屈強な軍の兵士1200人を派遣すると発表した。

救急車の運転手は22日にストに加わる予定。一部の看護師、鉄道員、教師、郵便局員などは各地でストを行っている。

労組は政府と企業に賃上げを求めている。

コロナの大流行とロシアによるウクライナ侵攻がもたらした食料・燃料価格の高騰は人口の大多数を占める低中所得者層の家計を圧迫している。

労組のよると、10月のスト日数は過去10年で最も多かったという。

一方、11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で10.7%。10月の11.1%からわずかに下がったものの、それでも40年ぶりの高水準を維持している。

労組は二桁の賃上げを求めているが、スナク政権は「無理」と反発し、ストが経済危機とインフレを加速させていると非難している。

BBCニュースはスナク(Rishi Sunak)首相の発言を引用し、「労組幹部は自分たちの政治的な目的を達成するためにクリスマスを盗もうとしているグリンチだ」と報じた。

保守党のダウデン(Oliver Dowden)議員もBBCのインタビューで、「公共部門の賃上げとインフレを許すことはできない」と語った。

政府は多くの市民が冬休み中の病院の予約延期、列車の運休、フライトの遅れなどに直面していることから、世論が労組批判に傾くと計算している。

しかし、最新の世論調査によると、世論は労組および野党労働党の支持に傾いているようだ。

看護師と救急隊員はスト中も緊急事態に対応するとしている。

ロンドンに本部を置く最大労組ユナイト(Unite)は声明で、「我々は緊急事態が発生した場合、ストをやめて救急車に乗り込むと約束する」と述べている。

国民保健サービス(NHS)の下で働く看護師らの労組「王立看護協会(RCN)」は患者の命が危険にさらされてるとして、政府と労組幹部に妥協を求めた。

RCNの書記長はBBCのインタビューで、「年末は労働争議がない日も非常に忙しく、要員を減らす余裕は欠片ほどもない」と断言した。「患者の命を危険にさらすようなストは支持できません。政府と労組は妥協してください」

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