◎多くの環境活動家が土地開発や領土争いに巻き込まれて死亡している。
国際NGO「グローバル・ウィットネス(Global Witness、GW)」は28日、年次報告書を公表し、昨年世界で殺害された環境活動家が約200人に達したと報告した。
レポートによると、犠牲者の75%超が中南米で確認され、最多はメキシコの54人。コロンビア、ブラジル、ニカラグア、フィリピンでも2桁の死者を記録した。
メキシコは3年連続の増加。2020年は30人の死亡が確認された。
GWはレポートの中で、「犠牲者の大半は環境破壊や開発の影響を強く受けている脆弱な人々」と説明している。
またGWは「一部の国や情報が届きにくい地方ではさらに多くの環境活動家が犠牲になっている可能性が高い」と指摘した。
多くの環境活動家が土地開発や領土争いに巻き込まれて死亡している。GWによると、鉱業をめぐる紛争では確認できているだけで27人が死亡したという。そのうち15人はメキシコで確認された。
メキシコ西部ハリスコ州では昨年4月、地方選挙に立候補した環境活動家の男性が殺害されている。この男性は地元の鉱業開発に反対を表明していた。警察によると、この男性は車ごと崖から転落し、死亡したという。遺体には拷問の跡があった。
コロンビア南西部カウカ州でも昨年4月、コカイン撲滅を訴えていた女性知事が自宅近くで武装勢力の襲撃を受け暗殺された。
コロンビアにおける環境活動家の犠牲者は2020年の65人から33人に減少した。フィリピンも2020年の30人から19人に減少している。
コンゴ民主共和国では死亡が確認された8人全員が世界遺産のヴィルンガ国立公園内で殺害された。
コンゴ民の北キブ州では昨年11月、反政府勢力「3月23日運動(M23)」の重武装した兵士約100人がヴィルンガ国立公園の事務所を襲撃し、男性を殺害した。
ヴィルンガ国立公園はアフリカ大陸最古の国立公園で、世界遺産に登録され、世界で唯一、野生のマウンテンゴリラが生息している。
この公園ではM23やルワンダ解放民主軍(FDLR)などの武装勢力が天然資源をめぐって争っている。
GWは各国政府に対し、活動家を保護し、先住民族のインフォームド・コンセント(十分な情報を得た上での合意を意味する概念)を義務付ける法律を施行するよう求めた。
またGWは企業に対し、説明責任を果たし、先住民族を含む土地を守る人々への攻撃を一切容認しないよう求めた。