◎公営カナダ放送協会(CBC)によると、24日午前の時点で死傷者は報告されていない。
カナダのメディアによると、ハリケーン「フィオナ」の影響を受けた東部沿岸地域で大規模な停電が発生したという。
フィオナは24日、温帯低気圧に変わったものの、大西洋側の広い範囲に大雨と暴風をもたらし、一部地域では浸水も報告されている。
ニューファンドランド島の住宅地では多くの配電柱が倒木で損傷し、沿岸部の集落は波に飲まれた。
トルドー(Justin Trudeau)首相は24日、広い範囲で被害が報告されているとし、軍に出動を命じた。
公営カナダ放送協会(CBC)によると、24日午前の時点で死傷者は報告されていない。停電や浸水が発生した地域では救助作業が始まっているという。
トルドー氏は被災地の支援と被害状況を調査するために軍を派遣すると説明した。また、東部ノバスコシア州から支援要請を受けていると明らかにした。
トルドー氏は27日に日本で行われる安倍元首相の国葬への参列を取りやめ、被災地支援に全力を挙げるとした。
ノバスコシア州、プリンスエドワード島、ニューファンドランド、ニューブランズウィックの大西洋岸地域とケベック州の一部地域には暴風警報などが発令されている。
気象当局によると、東部の一部地域の24時間雨量は250mmに達し、洪水のリスクが高まっているという。
ノバスコシア州政府は州都ハリファックスとケープブレトン島に避難所を複数開設した。
ノバスコシア州ケープブレトンの市長は24日、SNSに声明を投稿。市民に周囲の安全を確認し、風が弱まったからといって慌てて自宅に戻ったり、川の様子を見に行ったりしないよう促した。
ニューファンドランド島の南西端の町では洪水が発生し、民家やオフィスが波に飲まれたと報告されている。地元で取材に当たった記者はCBCに、「波はあっという間に家を押し流してしまった」と語った。ニューファンドランド島の自治体はこの地域に非常事態宣言を出している。
浸水の規模はまだ明らかになっていないが、CBCによると、沿岸部の住民は避難を命じられていたという。
ニューファンドランド島の自治体は少なくとも20軒が波にさらわれたと報告している。
同島の地元警察は自宅の倒壊に巻き込まれた女性を救助したと発表した。また、女性が地下室に流されたという通報を受けたものの、捜索はできていないという。
電力会社は配電線を含む電力設備の復旧には数日かかる可能性があると報告した。停電世帯数は10万軒以上と報告されている。
カナダは大型ハリケーンを経験したことがほとんどなく、そこに接近したハリケーンは北部の冷たい海域で勢力を失い、温帯低気圧に変わることがほとんどである。しかし、フィオナはカテゴリー3で東岸に接近した。
<ハリケーンのカテゴリー>
▽カテゴリー1:秒速 33~44(m/s)
▽カテゴリー2:秒速 43~49(m/s)
▽カテゴリー3:秒速 50~58(m/s)
▽カテゴリー4:秒速 58~70(m/s)
▽カテゴリー5:秒速 70~(m/s)
フィオナは今週初めに米領プエルトリコとドミニカ共和国に大きな被害を与えた。プエルトリコは島内全域で停電が発生(一部回復)し、広い範囲で断水が続いている。
一方、米フロリダ州はハリケーン「イアン」の接近に備えている。米国立ハリケーンセンター(NHC)によると、このハリケーンは来週、フロリダ州に上陸する可能性があるという。
イアンはカテゴリー4に成長すると予想されている。
NHCはイアンの進路について、ジャマイカ南部とキューバ西岸に影響を与えた後、フロリダ州に向かうと予想している。
フロリダ州のデサンティス(Ron DeSantis)知事は23日に非常事態を宣言し、ハリケーン上陸前に支援の準備を進めると発表した。