◎ドイツ政府はEUの執行機関である欧州委員会の決定に基づき、ガスの使用量を15%削減するとしている。
ドイツ北部ニーダーザクセン州ハノーバーは28日、ロシア産天然ガスの供給量が減少したことを受け、ガス節約の取り組みを開始した。
ドイツ通信社(dpa)によると、同市内の公共施設は暖房を停止し、プールのシャワーを冷水に切り替えたという。
ドイツ国内でお湯を止めた都市はハノーバーが初めてである。
ドイツ政府はEUの執行機関である欧州委員会の決定に基づき、ガスの使用量を15%削減するとしている。
dpaによると、ハノーバーではガスの使用量を減らすため、公共施設の手洗い、プール、スポーツ施設、ジムなどに温水を使用しないよう通知した。
公園などの噴水も省エネのため停止し、市庁舎を含む公共施設の建物は夜間照明をやめる。
ハノーバーの市長は声明で、「差し迫ったガス危機に対応するため、市のエネルギー消費量を15%削減するという目標を設定した」と述べた。
この目標は空調にも適用される。公共施設は4月~9月末まで空調を停止し、それ以外の期間は温度を20度に設定する。(一部例外あり)
携帯エアコン、ヒーター、空調機器用ラジエーターも使用できない。
連邦政府は先週、LNG(液化天然ガス)の備蓄を増やすための節電政策を発表した。バイエルン州の一部都市を含む他の地域も公共の噴水を停止するなどの節電対策を導入している。
連邦政府は28日、エネルギー企業は原油や天然ガスの値上がりを料金に転嫁するため、国民にかかる負担はさらに重くなる可能性が高いとした。
ハーベック(Robert Habeck)副首相は会見で、「11月のガス代がいくらになるかはまだ分からないが、1世帯あたり数百ユーロ(数万円)になることは間違いない」と警告した。
dpaは当局者の話を引用し、「一般家庭のガス料金は年間500ユーロ(約6万8000円)増加する可能性がある」と報じている。
ドイツは国内で消費する天然ガスの多くをロシアから輸入してきたが、ウクライナ侵攻を受け、方針を大きく転換した。
ロシア国営ガスプロム社のドイツ向けガスパイプライン「ノルドストリーム1」の現在の供給量は従来の40%程度にとどまっている。