◎中国とソロモン諸島が今年4月に締結した安全保障協定は、太平洋地域の盟主であるオーストラリアとニュージーランドに衝撃を与えた。
米国のハリス(Kamala Harris)副大統領は12日、トンガとキリバスに大使館を開設し、太平洋諸国との連携を強化すると発表した。
ハリス氏は太平洋諸島フォーラム(PIF)の首脳会議に宛てたオンライン演説で、「トンガとキリバスに大使館を開設し、史上初となる太平洋地域特使を任命する」と明らかにした。
また、この地域の開発を促進するために6億ドルを提供するとした。
米国はすでにソロモン諸島の大使館再開も決めている。
ハリス氏はサミットに招待してくれたフィジー政府に謝意を示し、米国は太平洋地域で「新章」を開始すると表明した。
またハリス氏はバイデン(Joe Biden)大統領の発言を引用し、「米国はこの地域に焦点を当てていなかった」と認めたうえで、「太平洋地域における米国の存在感を高めたい」と強調した。
米国の援助(10年6億ドル)は現在の約3倍に相当し、海洋安全保障の強化、気候変動への対応、違法漁業の撲滅に充てられる予定だ。
また米国は、太平洋地域における平和維持プログラムを再開するとした。
パラオのウィップス(Surangel Whipps)大統領はロイター通信の取材に対し、「米国が戻ってきたことを嬉しく思う」と語った。
パラオは米国と防衛協定、台湾と外交関係を結んでいる。
ホワイトハウスはハリス氏の演説に先立ち声明を発表。太平洋地域で影響力を強める中国を念頭に置き、「この地域における米国の対応を強化する」とした。
中国とソロモン諸島が今年4月に締結した安全保障協定は、この地域の盟主であるオーストラリアとニュージーランドに衝撃を与えた。
中国外相は5月、南太平洋の10カ国を歴訪し、安保・経済協定を提案したものの、大きな成果を上げることはできなかった。
米国・AUS・NZLは10カ国が中国との協定を拒否したことを受け、外交を活発化させた。
ハリス氏の演説は起死回生の一撃になると期待されている。PIFは中国を招待していないのである。
フィジーの中国大使館関係者はハリス氏の演説を聞いたと伝えられている。
トンガのソバレニ(Siaosi Sovaleni)首相はAFP通信の取材に対し、「米国を歓迎する」と語った。「我々は米国をトンガに迎えることができ、非常に満足しています」