◎通勤客は膝の高さまで冠水した道路を徒歩や自転車で進み、一部の住民はゴムボートで職場に向かっている。
パキスタン政府は11日、この1カ月の大雨による洪水や土砂崩れで少なくとも150人が死亡、数千戸の家屋が被害を受けたと発表した。
政府報道官によると、子供と女性の死者は少なくとも91人に達したという。また多くの家屋、道路、橋、発電所なども被害を受けた。
南部の港湾都市カラチの浸水被害は特に深刻で、地元メディアによると、3週間以上水が引かず、数百万人に影響が出ているという。
通勤客は膝の高さまで冠水した道路を徒歩や自転車で進み、一部の住民はゴムボートで職場に向かっている。
AP通信の取材に応じた男性は、「故障した車やバイクが何十台も放置されている」と語った。「この冠水した道路を進むためには、車ではなくボートが必要です」
多くの通勤客や住民が車を乗り捨てている。一部地域の水位は3週間以上腰高を維持していると伝えられている。
政府はカラチを含む浸水被害に見舞われた地域に海軍を派遣し、排水作業を進めている。
気象当局によると、今シーズンの雨季の降水量は例年のほぼ2倍に達したという。雨は6月中頃から降り始め、南西部バルチスタン州に特に深刻な被害をもたらした。同州ではこれまでに少なくとも65人が死亡している。
カラチで洪水や土砂崩れに巻き込まれて死亡した人は10日時点で26人。首都イスラマバードと東部パンジャブ州でも豪雨が発生し、少なくとも23人の死亡が確認された。
当局は被災者にテント、食料、その他の日用品を届けている。
専門家によると、パキスタン、インド、バングラデシュで報告されている激しい豪雨の主な原因は気候変動にあるという。
パキスタンの多くの都市が毎年、雨期の大雨に悩まされている。モンスーンの季節は7月~9月まで。
雨は作物の生育やダムに欠かせない存在である。同国南部の一部地域ではこの数カ月雨が全く降らず、深刻な干ばつに直面している。