◎デモ隊は首都ハルツームの政府庁舎周辺で座り込み抗議を続けている。
スーダン軍の統治に反対するデモ隊は9日、首都ハルツームとその近郊で抗議デモを行う傍ら、イスラム教で最も重要な祭日「犠牲祭(イード・アル・アドハ)」を祝った。
一部のデモ隊は2週間前から政府庁舎前で座り込み抗議を続けている。
犠牲祭は預言者ムハンマドの信仰を称える祝祭で、羊や牛を生贄として神に捧げる。人々はその肉を貧しい人々と分け合う。地域の事情で動物を屠殺できない場合は現金を寄付してもよい。
ムハンマドに祈りを捧げた人々は軍事政権の指導者ブルハン(Abdel Fattah al-Burhan)将軍を辞任に追い込み、文民統制を確立すると誓った。
AFP通信の取材に応じた男性は、「あの男が辞めるまで戦いは続く」と語った。デモ隊は軍の取り締まりで死亡した市民を「殉教者」と呼び、全員の写真をデモ会場に掲示している。
ブルハン氏は先週、政治危機を解決するために軍事政権を解散すると発表したが、野党議員などで構成される民主派グループとの交渉や選挙日程など、具体的なタイムラインは明らかにしなかった。
民主派グループはブルハン氏の提案を「大嘘」と呼び、「革命評議会」を発足するとしている。この評議会は選挙で選ばれた野党議員を含む民主指導者で構成され、軍事政権解体後の国政や次の選挙の準備などを行うとみられる。
現地の人権団体によると、6月30日に行われた抗議デモでは市民少なくとも9人が死亡したという。
スーダンを30年にわたった支配した独裁者のオマル・バシル (Omar al-Bashir)は2019年4月の無血クーデターで追放され、その後、抗議デモを主導した「自由と変化の勢力(FFC)」などの市民グループは軍当局と軍民合同政府「ソブリン評議会」を発足させた。
しかし、軍と民間部門の取り決めはブルハン氏が主導した昨年10月の軍事クーデターで崩壊し、同国はかつてない経済的・政治的混乱に陥っている。