◎シドニーの一部地域ではこの数日で8カ月分の雨が降った。
オーストラリア政府は5日、ニューサウスウェールズ州(NSW)シドニーの広い範囲に避難勧告を発令した。
オーストラリア放送協会(ABC)によると、数千人が避難を余儀なくされたという。
シドニーの一部地域ではこの数日で8カ月分の雨が降った。
市内の道路は寸断され、数百戸が床上浸水し、多くの地域で停電が発生している。
AUS最大の都市は今年3月初めにも大洪水に見舞われ、20人以上が死亡した。
NSW政府は100以上の地域に避難勧告を出している。
ABCによると、複数の地域で主要河川の増水・氾濫が確認されたという。NSW政府は州内の全住民にいつでも避難できる体制を整えるよう呼びかけている。
一部地域の4日間雨量は800mmを超え、河川のない地域でも浸水被害が報告された。
気象当局によると、シドニーの豪雨は6日には収まる見込み。NSW州政府は洪水だけでなく強風による倒木や停電にも警戒するよう呼びかけている。
NSWの州首相は記者会見で、「早め早めの避難を心掛け、自分と家族の命を守る行動を取ってほしい」と語った。
一部地域の住民は今年3回目の洪水にウンザリし、浸水被害に絶望した。
シドニー郊外の町から避難した男性はABCの取材に対し、「ここに引っ越してきた時、洪水は50年か100年に1度と聞かされていた」と語った。「私は今年、3回大洪水を経験しました...」
専門家によると、今年のオーストラリアの異常気象はラニーニャ現象によるものだという。
エルニーニョ現象は太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象である。
これとは逆に、同じ海域の海面水温が平年より低い状態がラニーニャ現象であり、それぞれ数年おきに発生する。エルニーニョ現象とラニーニャ現象は、AUSを含む世界の異常気象を引き起こす要因のひとつと考えられている。