◎スペインはアルジェリアとその宿敵であるモロッコの間で揺れ動き、バランスを取ることに失敗した。
2016年11月3日/西サハラ、武装組織「ポリサリオ戦線」の戦闘員(Zohra Bensemra/AP通信)

アルジェリア政府は8日、2002年に締結したスペインとの友好善隣協力条約を停止すると発表した。

スペイン外務省はアルジェリアの決定を遺憾とし、友好条約の重要性を再確認したと声明を出した。「スペインはアルジェリアを友好的な隣国とみなし、両国間の特別な協力関係を維持・発展させ、両国の利益を確立する用意があることを再確認しました...」

スペインは国内で消費する天然ガスの多くをアルジェリアから輸入している。

両国の関係はモロッコが領有権を主張する「西サハラ(サハラ・アラブ民主共和国)」をめぐって張立している。

モロッコは西サハラを統治する武装組織「ポリサリオ戦線」をテロリストと見なしているが、アルジェリアを含むアフリカ連合(AU)の主要国は西サハラの独立を認めている。

アルジェリア大統領府は声明の中で、「スペインはこの地域で権力を乱用している」と述べている。「スペインは西サハラとこの地域の情勢を悪化させようとしています...」

スペインはアルジェリアとその宿敵であるモロッコの間で揺れ動き、バランスを取ることに失敗した。アルジェリアとモロッコは昨年8月に国交を断絶している。

アルジェリアは今年3月、モロッコがポリサリオ戦線に「限定的な自治権」を与える計画を発表し、スペインがそれを支持すると表明したことに強く反発していた。

モロッコは西サハラのおよそ8割を支配している。残りはアルジェリアの支援を受けるポリサリオ戦線が統治している。

1975年にスペイン軍がこの地域から撤退した後、15年に及ぶ西サハラ戦争が勃発した。西サハラは1976年に独立を宣言したが、モロッコはこれを認めていない。

国連が主導した西サハラ戦争の停戦協定は1991年に発効し、それ以来、国連平和維持ミッション「西サハラ住民投票監視団(MINURSO)」が緩衝地帯を監視している。

モロッコはポリサリオ戦線に「限定的な自治」を提案しているが、同戦線はリン鉱石と漁業が豊富なエリアを主権下に置く必要があると主張している。

スペインは昨年3月、コロナウイルスに感染したポリサリオ戦線の指導者の入国を受け入れ、モロッコ政府の反感を買った。

ロイター通信はこの問題に詳しい当局者の情報を引用し、「アルジェリアはスペインのガス企業に新たな契約を迫る可能性がある」と報じている。

またロイターは、「アルジェリアはスペインと長期契約を結んでおり、その取引価格は現在の市場価格を大きく下回っている」と報じた。

スペインのサンチェス(Pedro Sanchez)首相は8日、野党からアルジェリアとの外交危機とガス契約の見直しを迫られる可能性について質問を受けたが、回答を避けた。

アルバレス(Jose Manuel Albares)外相は、「アルジェリアがスペインの天然ガス供給に影響を与えるような措置を取る兆候はみられない」と説明した。

アルバレス氏は地元メディアから「アルジェリアが強硬措置を取る可能性はあるか」という質問に対し、「アルジェリアは信頼できるパートナーであり、ガス供給に関して最高レベルの保証をスペインにしている」と答えた。

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