◎20日午後6時までの24時間に確認した新規発熱患者は21万9030人に達し、5日連続で20万人を超えた。
北朝鮮の国営メディアは21日、コロナウイルスと思われる原因不明の発熱患者を新たに22万人確認したと報じた。
進行中の集団感染は世界で最も貧しい北朝鮮の経済と国民を痛めつけ、孤立を加速させると懸念されている。
北朝鮮の経済はキム家の不作為、米国主導の厳しい経済制裁、天災、国境封鎖でひどく疲弊しており、多くの専門家が北の力だけで今回の感染拡大を抑えることは難しいと指摘している。
朝鮮中央通信(KCNA)によると、20日午後6時までの24時間に確認した新規発熱患者は21万9030人に達し、5日連続で20万人を超えた。
これで4月下旬以降に確認された発熱患者は240万人を超えた。死者は66人と伝えられている。
金正恩(Kim Jong Un)党総書記は公衆衛生当局の「怠慢」を叱りつけ、100万人以上の保健当局者を動員し、発熱患者の隔離を急いでいる。
首都平壌には朝鮮人民軍の兵士数千人が配備され、医薬品の輸送を支援した。
KCNAによると、キムは21日に政治局会議を主催し、原因不明の熱病をまもなくコントロールできると主張したという。
KCNAは「党総書記は肯定的な傾向を維持するために警戒態勢を強化するよう命じた」と伝えている。
しかし、KCNAによると、キムは経済的苦境を和らげるために予防対策の緩和を示唆し、発熱患者が減少するようであれば対策を積極的に見直し、経済を活性化する計画を打ち出すよう高官らに命じた。
KUNAは政治局高官のコメントを引用し、「政治局はウイルスの蔓延を安定的に抑制・軽減する方法に従って、政府のウイルス対策をより効果的に設計・実行する方法を議論した」と報じたが、議論の詳細は明らかにしなかった。
またKUNAは農場、鉱山、発電所、建設現場に大勢の労働者が集まり続けていることも伝えている。
韓国の専門家はSNSに、「金正恩は追い詰められている可能性が高い」と投稿している。「数十年にわたる失政、核・ミサイル開発に対する経済制裁、厳格な国境封鎖などによって疲弊した脆弱な経済にさらなる衝撃を与えることはできないでしょう...」
KCNAは農作物を守る農業キャンペーンが緊急展開されていると繰り返し報じている。韓国の専門家は、北の農業は干ばつや台風などの自然災害で壊滅的な打撃を受けたと指摘している。
また北の医療体制、進行中の食料危機、コロナワクチン未展開を考えると、オミクロン株の感染拡大は大量死につながる可能性がある。
しかし、キムは原因不明の熱病が拡大しているにもかかわらず、政府主催のイベントを開催した。
KCNAによると、キムは21日に行われた朝鮮人民軍幹部の玄哲海(ヒョン・チョルヘ)の国葬で涙を流したという。
一部の韓国メディアは、中国の貨物機が北朝鮮に入ったと報じている。しかし、韓国政府は中国が北に貨物機を飛ばしたかどうかは分からないとした
米国防総省はバイデン(Joe Biden)大統領の日韓訪問に合わせて北が核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を行う可能性があると警戒を呼び掛けている。