◎発熱で入院した49万6030人が回復し、14日の時点で32万4550人がまだ治療を受けている。
2022年5月14日/韓国、首都ソウルの駅、北朝鮮のニュース(Ahn Young-joon/AP通信)

北朝鮮の国営メディアは15日、国内で蔓延している「原因不明の熱病」に対処するため、130万人以上の保健所職員や医療関係者が動員されたと報じた。

朝鮮中央通信(KCNA)は4月下旬頃から発熱患者が急増したと報告しているものの、コロナウイルスの患者数は明らかにしていない。

KCNAは15日の報道で新たに15人の死亡を確認し、期間中の死者は42人になった。さらに、新規発熱患者は29万6180人、期間中の累計発熱患者は82万620人に達したと報告した。

一部の専門家は北の医療体制、進行中の食料危機、コロナワクチン未展開を考えると、オミクロン株の感染拡大は大量死につながる可能性があると指摘している。

韓国の世宗研究所のアナリストはAP通信の取材に対し、「北にPCR検査キットはなく、感染者のチェックを体温計に頼っている」と指摘した。「北の医療体制は極めて脆弱であり、ウイルスの拡大を止めることは不可能でしょう...」

建国以来最大の危機に直面している金正恩(Kim Jong Un)党総書記は12日に全国封鎖を命じた。

北朝鮮の経済は数十年にわたるキム家の不作為、核・ミサイル開発に対する厳しい経済制裁、天候不良や天災などにより、悪化の一途をたどっている。一部の専門家は、「金正恩はプライドを捨て、国際社会に支援を求めなければならない」と指摘している。

KCNAによると、原因不明の熱病に対処するため、130万人以上の関係者が発熱患者の診療や治療にあたっているという。

また、発熱などの症状がみられる患者は全員隔離され、治療を受けているとされる。KCNAは政府高官の声明を引用し、「当局は検疫施設の拡充、医薬品の緊急輸送、消毒の徹底など、パンデミック対策を強化している」と報じた。

またKCNAは、「全国のすべての省、市、郡は5月12日から完全に閉鎖され、住居エリアはすべて隔離され、全国民を対象とする集中検疫体制に移行した」と伝えた。

KCNAは医療部門の高官のコメントを引用し、「発熱で入院した49万6030人が回復し、14日の時点で32万4550人がまだ治療を受けている」と報じた。

KCNAによると、キムと他の政府高官は医療機関を支援するために、「個人の医薬品」を寄付しているという。

キムは感染拡大にもかかわらず、当局に進行中の経済・建設・その他の国家プロジェクトを継続するよう命じた。この命令は、当局が全国民に自宅隔離を命じていないことを示唆している。

12日にコロナの感染者を報告してから数時間後、北は弾道ミサイルを日本海に向けて発射し、国際社会にアピールした。

KCNAによると、キムは13日に亡くなった楊亨燮(ヤン・ヒョンソプ)の追悼所を訪れ、哀悼の意を表したという。

またKCNAは、東北地方の当局者と労働者が作物の収穫量と品質の低下を防ぐ取り組みを開始したと発表した。

韓国と中国はワクチン・医療品・その他の援助物資を送ると申し出たが、北は申し出に応じていないとされる。

北は世界保健機関(WHO)などが主催するコロナワクチン展開プログラムCOVAXの支援も拒否している。

ホワイトハウスのサキ(Jen Psaki)報道官は12日、米国は国際的な援助活動を支援するが、北とワクチンを供給する計画はないとした。バイデン(Joe Biden)大統領は今週末に韓国を訪問する予定で、北の熱病が議題のひとつになる可能性がある。

原因不明の熱病は先月末に行われた数万人規模の軍事パレードや金日成主席生誕110年パレードで拡散した可能性が高いと指摘されている。

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