◎米国とEUはオルテガ大統領と妻のムリーリョ副大統領に制裁を科している。
ニカラグアの米州機構(OAS)大使であるマクフィールズ氏は23日、ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領の市民や野党政治家に対する弾圧、人権侵害、言論の侵害などを厳しく非難した。
マクフィールズ大使は23日のツイートで、「2018年のオルテガに対する抗議デモが勃発して以来、ニカラグアで死亡した数十人の政治犯と300人以上の市民を代表してオルテガを非難する」と述べた。
またマクフィールズ大使はオルテガ政権を非難するのは怖いとしながらも、「私と家族の未来が不確かなものになったとしても、話さなければならない」と述べた。「自国の独裁を糾弾することは簡単なことではないです。しかし、沈黙し続けることは不可能と判断しました...」
マクフィールズ大使はOAS大使を辞任したことも明らかにした。
OASは1951年に発足した汎米国際機関で中南米地域の諸問題の解決にあたっている。近年では地域の選挙監視活動で重要な役割を果たし、域内における民主主義の確立と維持に取り組んでいる。
2018年に治安部隊が反政府デモを暴力的に鎮圧して以来、野党指導者や市民数千人が亡命を余儀なくされた。
オルテガ大統領はデモを外国勢力のクーデターなどと呼び、暴力的な取り締まりを擁護した。治安部隊に殺害された市民は250~300人と推定されている。
マクフィールズ大使は元大統領候補で今週懲役8年を言い渡されたクリスティアナ・チャモロ氏の逮捕と投獄に強く反対している。野党もチャモロ氏を含む野党指導者の一斉逮捕を政治的な動機によるものと非難している。
チャモロ氏は昨年11月の大統領選挙に立候補する予定だったが、言いがかりで逮捕、投獄された。複数の地元紙が行った世論調査によると、チャモロ氏の支持率はオルテガ大統領を数ポイント上回っていた。
しかし、オルテガ大統領はチャモロ氏を含む主要な大統領候補7人を反逆罪に相当する容疑で刑務所に送り、その他の野党関係者20人も合わせて逮捕した。
オルテガ大統領は大統領選で4期目を決め、与党サンディニスタ民族解放戦線も議会選で圧勝したが、米国、EU、OASは選挙を「茶番劇」と呼び非難した。
チャモロ氏の兄ホアキン氏も言いがかりで逮捕され、禁固9年を宣告された。二人の母親は同国初の女性大統領であるビオレタ・チャモロ氏である。
米国とEUはオルテガ大統領と妻のムリーリョ副大統領に制裁を科している。二人はEUを「ナチス」、EU指導者を「ヒトラーの弟」、米国を「ヤンキー帝国」と呼んでいる。
米国のOAS暫定大使であるフレデン氏はマクフィールズ大使の非難声明を称賛した。
アルマグロOAS事務総長もマクフィールズ大使の「勇気」を称賛し、「倫理的に正しい」とツイートした。
マクフィールズ大使は、オルテガ大統領のNGOに対する取り締まりやメディアへの圧力を非難し、「この国の選挙ほど信用できないものはない」と糾弾した。
またマクフィールズ大使は、少なくとも20人の高齢の政治犯を釈放させようとしたが、「政府内に耳を貸す度量のある者はひとりもいない」と述べた。「内外の人々は独裁政権の行動に疲れ、飽き、多くの人々がもうウンザリだと言っていると世界に伝えたい...」
オルテガ大統領は昨年11月にOAS脱退を通知したが、脱退手続き完了には2年近くかかると見込まれている。
Today Nicaraguan Ambassador to @OAS_official McFields resigned in protest, denouncing the Ortega-Murillo regime for their oppression and human rights record. We commend Amb. McFields' courage in giving voice to the millions of fellow Nicaraguans hoping for a return to democracy.
— Secretary Antony Blinken (@SecBlinken) March 23, 2022