◎グレートバリアリーフはオーストラリアを代表する観光資源のひとつで、ユネスコの世界自然遺産に登録されている。
オーストラリアの海洋庁は18日、グレートバリアリーフの大量白化現象は海水温の上昇で急速に悪化し、この2年で多くのエリアが白化に見舞われたと報告した。
サンゴは海水温が上昇すると体内から褐虫藻(かっちゅうそう)が失われ、死に至る。死んだサンゴまたは死にかけているサンゴは白色に変色することから白化現象と呼ばれている。
世界最大のサンゴ礁を管理するグレートバリアリーフ海洋庁は報告書の中で、「今後数週間の天候は海洋公園全体のサンゴの白化の程度と深刻さを判断する上で非常に重要である」と述べている。
国連の代表団は来週、同礁の状態を視察し、危機遺産への登録や世界遺産登録の取り消しなどについて評価する予定。
海洋庁は、「白化は海洋公園全体で検出されており、状態は軽微なものから深刻なものまで様々である」と述べている。
グレートバリアリーフのサンゴは2016年、2017年、2020年の異常に暖かい海水温の影響で白化が進み、2020年には全体の3分の2がダメージを受けたと推定されている。
環境保護団体グリーンピースは18日、「ラニーニャ現象時に被った広範なサンゴの白化は、AUS政府が気候変動の影響からサンゴを保護できていない証拠である」と声明を発表した。
ラニーニャ現象が発生すると西太平洋熱帯域の海水温は上昇する。
グリーンピースAUS太平洋地域気候影響キャンペーンを担当するザヴァン氏は声明の中で、「海洋庁の報告は石炭、石油、天然ガスの燃焼による地球温暖化がサンゴ礁を脅かしている証拠です」と述べた。
ユネスコは昨年7月、グレートバリアリーフを「危機遺産」に登録する可能性に言及し、AUS政府と激しく対立した。危機遺産に登録されると世界遺産登録を取り消される可能性がある。
グレートバリアリーフはAUSを代表する観光資源のひとつであり、危機遺産登録は観光産業に影響を与えると懸念されている。
AUSのスコット・モリソン首相は昨年11月のCOP26で採択された目標(2030年までにメタン排出量を70%削減するなど)におおむね反対している。
グレートバリアリーフの問題は今年6月の世界遺産委員会で再び議論される予定。