毎日サプリメントを飲む=健康ではない、害になる可能性も
インターネット上では「若返り」や「長寿」をうたう製品が次々と登場しているが、健康維持の基本はバランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠である。
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健康意識の高まりを背景に、ビタミンやミネラル、プロバイオティクスなどのサプリメントを毎日摂取する人が世界的に増えている。しかし、専門家の間では「多ければ多いほど健康に良い」という考え方に警鐘を鳴らす声が強まっている。複数のサプリメントを日常的に摂取する習慣が、かえって健康を損なう可能性がある。
英BBCニュースは健康増進を目的として10数種類のサプリメントを毎日摂取していた女性の事例を紹介している。女性はSNSや健康関連の情報を参考に、ビタミン類やミネラル、植物由来成分などを組み合わせて服用していたが、その後、腎結石などの健康問題に直面したという。専門家はサプリメントの過剰摂取や複数製品の併用によって、体内の栄養バランスが崩れる危険性を指摘している。
サプリメント市場は近年急速に拡大している。免疫力向上や疲労回復、老化防止、腸内環境改善などをうたう製品が数多く販売され、SNS上では著名人やインフルエンサーによる宣伝も盛んだ。しかし、健康な人が十分な栄養を食事から摂取している場合、多くのサプリメントは目立った効果を示さないことが研究で明らかになっている。むしろ必要以上の摂取によって副作用が生じる恐れもある。
特に注意が必要なのは脂溶性ビタミンである。ビタミンA、D、E、Kは体内に蓄積されやすく、大量摂取によって中毒症状を引き起こす可能性がある。鉄分も不足している人には有効だが、過剰摂取すると肝臓やその他の臓器に負担を与えることがある。さらに、亜鉛を長期間摂り過ぎると銅不足を招くなど、一つの栄養素の過剰摂取が別の栄養素の欠乏につながるケースも報告されている。
また、サプリメント同士や医薬品との相互作用も見逃せない問題だ。血液を固まりにくくする薬を服用している人がビタミンKを含む製品を摂取すると、薬の効果が弱まる可能性がある。カルシウムなどのミネラルも、他の栄養素の吸収を妨げる場合があるため、専門家は自己判断による併用に慎重になるよう求めている。
さらに近年は、サプリメントによる肝障害の増加も問題視されている。米国ではウコン由来成分やアシュワガンダ、緑茶抽出物などを含む製品との関連が指摘されており、一部では重篤な肝機能障害に至った事例も報告されている。サプリメントは医薬品より規制が緩く、品質や成分表示にばらつきがあることもリスク要因とされる。
一方で、すべてのサプリメントが不要というわけではない。高齢者のビタミンB12不足やビタミンD欠乏、妊婦の葉酸補給など、医学的に有効性が確認されているケースも多い。重要なのは、自分に不足している栄養素を把握したうえで必要なものだけを補うことであり、「念のため」と多種類のサプリメントを摂取することではないと専門家は強調する。
インターネット上では「若返り」や「長寿」をうたう製品が次々と登場しているが、健康維持の基本はバランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠である。専門家はサプリメントを万能薬のように考えるのではなく、必要性を医師や栄養士と相談しながら判断するべきだとしている。健康のために始めた習慣が、知らぬ間に健康リスクに変わる可能性もあることを理解すべきだ。
