EVは乗り心地が良いのになぜ酔うのか、静粛性や回生ブレーキが原因の可能性
EVの普及が進む中、運転性能だけでなく、乗客が感じる身体的な快適性も課題となっている。
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電気自動車(EV)は静かで滑らかな走行性能を特徴とし、運転する側からは高く評価されている。一方で、乗客の一部からは、ガソリン車では経験しなかった強い乗り物酔いを感じるという声が出ている。
ロンドン北部に住む24歳の女性は、恋人が2年前にEVを購入してから、長時間のドライブで強い吐き気を感じるようになったという。別の英国人男性も、新しく購入したEVについて、運転時の快適さを評価する一方、9歳の娘が以前より車酔いしやすくなり、30分程度の移動でも体調を崩すようになったと話している。
ただし、EVに乗れば誰もが酔いやすくなるわけではない。EVの運転手や乗客の中には、従来のガソリン車よりも快適だと感じる人も多く、EV利用者団体でも車酔いは主要な問題として認識されていないという。専門家も、EVと乗り物酔いの関係については研究がまだ初期段階にあり、明確な因果関係を断定できるだけの証拠はないとしている。
それでも、いくつかの要因が考えられている。乗り物酔いは目から入る視覚情報、内耳の平衡感覚、身体が感じる動きなどの情報に食い違いが生じることで起こる。従来の自動車では、エンジン音や振動が加速や減速を予測する手掛かりになっていたが、EVは走行音や振動が小さいため、こうした感覚情報が減ることが影響する可能性がある。
さらに注目されているのが回生ブレーキだ。EVはアクセルを緩めるとモーターを発電機として利用しながら減速するが、操作によっては速度が急に落ちるように感じる場合がある。頻繁な加減速によって身体が前後に揺さぶられ、不快感につながる可能性が指摘されている。また、EVはエンジン車より瞬間的に強い加速を得やすいことも、車酔いに影響する要因とされる。
一方、乗り物酔いには個人差も大きい。女性や子どもは影響を受けやすく、遺伝的な体質も関係するとされる。中国で行われた調査研究でも、EVでは従来車より症状が強くなる傾向が確認された一方、乗り物酔いの頻度については必ずしもEVの方が高いとは限らないと報告されている。
対策として専門家は、スマートフォンや読書を避けて前方を見る、可能なら助手席に座る、頭をヘッドレストにつけて動きを抑える、窓を開けて新鮮な空気を入れるといった方法を挙げている。自動車メーカー側でも、急激な加減速を抑えるソフトウェアや、座席の振動などを利用して乗員に車両の動きを伝える技術が検討されている。
EVの普及が進む中、運転性能だけでなく、乗客が感じる身体的な快適性も課題となっている。今後研究が進めば、車酔いを抑えるための車両設計や運転支援技術がさらに進化する可能性がある。
