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ニカラグア、イタリアとの国交断絶、モーロ元首相殺害事件をめぐる対立

イタリアは数十年にわたりカシミッリの身柄引き渡しを求めてきたが、実現していない。
2018年9月5日/ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領(Getty Images/AFP通信)

ニカラグア政府は16日、イタリアとの外交関係を断絶すると発表した。イタリア政府が1978年に発生したアルド・モーロ(Aldo Moro)元首相の誘拐・殺害事件をめぐり、極左武装グループ「赤い旅団」の元メンバー、アレッシオ・カシミッリ(Alessio Casimirri)の身柄引き渡しを改めて要求したことが直接のきっかけとなった。両国は長年、この問題をめぐって対立してきたが、今回の決定によって外交関係は全面的に途絶えることになった。

ニカラグア外務省は声明で、イタリアのタヤーニ(Antonio Tajani)外相がニカラグア政府が「犯罪者を保護している」と批判したことについて、「不当で攻撃的かつ無責任な発言」と反発し、国交断絶を決定したと説明した。

一方、イタリア外務省はニカラグアの決定を確認した上で、「テロ犯罪者に免責を与えることは容認できない」とするタヤーニ氏の立場を改めて表明し、カシミッリの引き渡し要求を継続する考えを示した。

モーロ氏は1978年3月、赤い旅団によってローマ市内で誘拐、同組織は収監中の仲間の釈放を要求した。しかし政府は要求を拒否し、55日後、モーロ氏はローマ市内で遺体となって発見された。この事件は「鉛の時代」と呼ばれる政治的暴力が頻発した1970~80年代のイタリアを象徴する事件として知られ、現在も同国現代史における最大級のテロ事件の一つである。

カシミッリは1983年にニカラグアへ逃れ、与党・サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)の保護を受けた。1989年にはニカラグア国籍を取得し、現地女性と結婚した後、首都マナグアでイタリア料理店を経営している。本人は赤い旅団のメンバーだったことは認めているものの、モーロ氏殺害への関与については否定している。一方、イタリアでは事件への関与が認定され、欠席裁判で終身刑6回の判決を受けている。

イタリアは数十年にわたりカシミッリの身柄引き渡しを求めてきたが、実現していない。ニカラグア政府は1993年に国籍を取り消そうとしたものの、1999年に最高裁判所が「国籍剝奪には司法判断が必要」と判断し撤回された。ニカラグア憲法は自国民の引き渡しを禁じており、両国間には犯罪人引き渡し条約も存在しないことから、法的な障壁が解消されない状況が続いている。

独裁者のオルテガ(Daniel Ortega)大統領はイタリアを含むEUを「ヒトラーの子分」、米国をヤンキー帝国と呼び、中露との関係を強化してきた。2021年には台湾と断交して中国と国交を樹立し、2022年にはオランダとの外交関係も断絶するなど、欧州との摩擦が続いている。

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