仏独首脳会談、核抑止力に関する戦略対話拡充で合意
欧州ではロシアの脅威が続く一方、米国の安全保障への関与に不透明感が増しており、欧州諸国が防衛面での自立性を高めようとする動きが加速している。
とドイツのメルツ首相(AP通信).jpg)
ドイツとフランスは17日、欧州の安全保障体制を強化するため、核抑止力を巡る協力を深化させる方針を打ち出した。ドイツ・ブリュールで会談したメルツ(Friedrich Merz)首相とマクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は、フランスの核抑止力に関する戦略対話を拡充するとともに、ドイツがフランス主導の核演習にオブザーバーとして参加することで合意した。
欧州ではロシアの脅威が続く一方、米国の安全保障への関与に不透明感が増しており、欧州諸国が防衛面での自立性を高めようとする動きが加速している。
フランスは欧州連合(EU)加盟国で唯一、自前の核兵器を保有する。これまでフランス政府は核抑止を国家主権の中核と位置付け、運用に関する決定権を共有しない姿勢を維持してきた。しかしマクロン氏は近年、欧州全体の防衛力向上を訴え、フランスの核抑止力が欧州の安全保障に果たす役割について加盟国との対話を進める考えを示してきた。今回の合意は核兵器の共同保有や共同運用を意味するものではなく、抑止政策への理解を深め、戦略的な連携を強化することが目的とされる。
ドイツは北大西洋条約機構(NATO)の「核共有」の枠組みに参加し、米国の核抑止力の下で防衛政策を進めてきた。しかし、欧州ではロシアによるウクライナ侵攻の長期化に加え、米国の政権交代によって欧州防衛への関与が変化する可能性も議論されている。このため、欧州独自の抑止力を補完的に強化する必要性が高まっている。
両首脳は共同声明で、欧州の安全保障は欧州自身がより大きな責任を負うべきだとの認識を共有した。また、防衛産業や兵器開発でも協力を深める方針を確認し、次世代戦闘機を共同開発する「将来航空戦闘システム(FCAS)」などの大型計画を前進させる考えを示した。防衛装備品の共同調達や生産体制の強化も進め、欧州全体の防衛能力向上を目指す。
一方で、欧州各国の核政策には温度差もある。フランスは核戦力の運用権限を維持する姿勢を崩しておらず、ドイツ国内でも核抑止への関与拡大には慎重な意見が少なくない。そのため、今回の協力は象徴的な意味合いが強いとの見方もある。
それでも、ロシアとの対立が続く中で独仏が安全保障協力を一段と深めたことは、欧州が米国への依存を見直し、自立した防衛体制の構築を模索する流れを示す重要な一歩と位置付けられている。
