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USMCA見直し交渉、5月末に開始予定=メキシコ経済相


USMCAは2020年に発効し、3カ国の経済関係を支える枠組みとして機能してきたが、協定には定期的な見直し条項が盛り込まれており、2026年がその重要な再検討の年となっている。
2025年12月5日/米ワシントンDC、左からカナダのカーニー首相、メキシコのシェインバウム大統領、トランプ大統領(AP通信)

メキシコ政府は20日、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の見直し交渉について、2026年5月25日の週に正式協議が開始されるとの見通しを示した。エブラルド(Marcelo Ebrard)経済相が20日、米国のグリア(Jamieson Greer)通商代表部代表との会談後に明らかにしたもので、現在は双方の立場をすり合わせる事前協議の段階にある。

エブラルド氏は記者団に対し、米側の意見を聴取した後に正式交渉へ移行すると説明し、「次の段階として正式な交渉に進む」と述べた。今回の協議は3月にワシントンDCで行われた初回協議に続く第2ラウンドにあたり、本格的な制度見直しに向けた重要な節目となる。

USMCAは2020年に発効し、3カ国の経済関係を支える枠組みとして機能してきたが、協定には定期的な見直し条項が盛り込まれており、2026年がその重要な再検討の年となっている。この協定は域内で5億人以上の人口と巨大な経済圏を抱える世界有数の自由貿易圏を形成し、その内容の変更は各国経済に大きな影響を及ぼす可能性がある。

今回の交渉を巡っては、特に自動車、鉄鋼、アルミニウムといった主要産業が焦点となる見通しだ。メキシコのシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は見直しに先立ち、これら分野で米国と暫定的な合意を目指す意向を示している。これらの産業はメキシコの輸出の中核を占め、特に自動車関連製品は対米輸出の柱となっている。

一方、米側は原産地規則の厳格化を重視している。これは中国など第三国の製品がメキシコを経由して関税を回避する「迂回輸出」を防ぐもので、供給網の透明性や域内生産の比率を高めることが議題に上る見込みだ。

こうした議論は単なる技術的調整にとどまらず、北米の産業構造や国際競争力に直結する問題である。そのため交渉は容易ではなく、各国の国内政治や産業保護の思惑も絡み、難航が予想されている。

さらに、協定見直しを巡る不確実性はすでに経済にも影響を及ぼしている。貿易交渉の行方に対する不透明感がメキシコ経済の足かせとなり、2026年のGDP成長率は低水準にとどまる見通しだ。インフレも高止まりする中、安定した貿易環境の確保が重要課題となっている。

メキシコにとって米国は最大の貿易相手国であり、輸出の大半が同国向けである。したがってUSMCAの行方は国内産業や雇用、投資環境に直結する。政府は交渉を通じて既存の枠組みを維持しつつ、自国に有利な条件を確保したい考えだ。

5月下旬に予定される正式交渉はこうした利害の調整を本格化させる場となる。協定の安定的な継続に向けた合意が得られるのか、それとも対立が深まり再交渉が長期化するのか、北米経済の将来を左右する重要な局面となる。

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