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チャド、ハイチに1500人の部隊派遣へ、ギャング戦争激化


派遣される部隊は750人規模の大隊2個で構成され、今月から約1年間にわたり活動する予定だ。
2024年6月25日/ハイチ、首都ポルトープランスの空港、ケニア国家警察の先発隊(AP通信)

アフリカ中部・チャド政府は20日、カリブ海の島国ハイチにおける治安悪化に対応するため、国連主導の多国籍部隊の一員として1500人の兵士を派遣する方針を明らかにした。デビ(Mahamat Idriss Deby)大統領が議会に宛てた書簡で表明したもので、国連からの要請を受けた措置である。

派遣される部隊は750人規模の大隊2個で構成され、今月から約1年間にわたり活動する予定だ。すでに約400人が先遣隊として現地入りしており、段階的に増派が進められる。チャド政府は今回の派遣について、自国の治安部隊の国際的役割を示すものだと位置付けている。

ハイチでは近年、武装ギャングによる暴力が急激に拡大している。首都ポルトープランスの9割がギャングの支配下に置かれ、殺人や誘拐、略奪が日常化している。2021年にはモイーズ(Jovenel Moise)大統領が武装集団に暗殺され、その後も政治的混乱と治安崩壊が続いている。

こうした状況を受け、国連安全保障理事会は2023年にケニア主導の多国籍部隊を承認したが、人員や資金不足により十分な成果を上げられなかった。その後、部隊は拡充され、現在は最大5500人規模の「ギャング鎮圧部隊」として再編されている。新たな任務では従来認められていなかった容疑者の拘束権限も付与され、より強力な治安維持活動が可能となった。

直近でも中部アルティボニット県で武装ギャング「グラン・グリフ」が攻撃を行い、少なくとも30人が死亡、多数が行方不明になるなど、暴力が深刻化している。こうした事態は人道危機にも直結し、国内避難民の増加や社会基盤の崩壊が懸念されている。

国際社会はハイチの治安回復を最優先課題と位置付けており、今回のチャド部隊派遣はその取り組みを補強するものである。すでに複数の国が部隊提供を表明しているが、目標とする兵力の確保にはなお課題が残る。

もっとも、過去の多国籍部隊が十分な成果を上げられなかった経緯を踏まえると、今回の増派がどこまで実効性を持つかは不透明である。ギャング勢力は重武装化し、地域社会に深く浸透しているため、単なる軍事的対応だけでは根本的な解決に至らないとの指摘も多い。

それでも、治安の崩壊が国家機能そのものを脅かす中で、国際的な関与の強化は不可避である。チャドの派遣決定はハイチ危機がもはや一国の問題にとどまらず、国際社会全体で対処すべき課題であることを改めて示している。

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