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メキシコ世界遺産銃撃事件、容疑者が米銃乱射の資料を所持


事件は4月20日午前、首都メキシコシティ近郊にあるテオティワカンの「月のピラミッド」で発生した。
2026年4月20日/メキシコ、世界遺産テオティワカン遺跡、銃撃事件が発生した現場(AP通信)

メキシコ中部メヒコ州の世界遺産テオティワカン遺跡で発生した銃撃事件をめぐり、容疑者が1999年の米コロンバイン高校銃乱射事件に関連する資料を所持していたことが明らかになり、模倣犯的な動機の可能性が浮上している。捜査当局が21日、明らかにした。

事件は4月20日午前、首都メキシコシティ近郊にあるテオティワカンの「月のピラミッド」で発生した。27歳の男が観光客に向けて発砲し、カナダ人女性1人が死亡、13人が負傷した。負傷者には米国やコロンビア、ロシア、ブラジルなど複数国の観光客が含まれ、6歳の子どもも被害に遭った。男は犯行後、自らの銃で命を絶った。

現場からは拳銃や弾薬、ナイフのほか、ノートや書籍、画像資料などが見つかり、これらには1999年4月20日に米コロラド州で起きたコロンバイン高校銃乱射事件に関連する記述が含まれていた。当局は明確に事件名を挙げていないものの、同時期に米国で発生した銃撃事件への言及があったと説明し、犯行日が同事件の27周年に当たることから、影響を受けた可能性が指摘されている。

検察当局は容疑者が事前に現地を下見していたとみており、計画性のある単独犯行との見方を示している。また、押収された資料の分析から、過去の暴力事件を模倣しようとする心理傾向、いわゆる「コピーキャット」的性格が確認されたと説明した。

銃撃は観光客で混雑する時間帯に発生し、現場は一時パニックに陥った。ピラミッドの上にいた人々は地面に伏せたり、階段を駆け下りたりして避難し、その過程で転倒して負傷するケースも相次いだ。ガイドによると、犯人は高所から下方に向けて発砲し、逃げ場の少ない状況で被害が拡大したという。

テオティワカンは年間数百万人が訪れるメキシコ有数の観光地、今回のような無差別銃撃は極めて異例である。事件はFIFAワールドカップの開幕を控えた時期に発生したため、政府は国内外の観光客の安全確保に向けて警備体制の見直しを迫られている。

シェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は声明で「この事件は安全対策強化の必要性を浮き彫りにした」と述べ、主要観光地での警備増強や監視体制の拡充を進める方針を示した。さらに、こうした暴力行為に影響を与える外部要因の分析も重要だと指摘し、事件の背景解明を急ぐ考えを示した。

メキシコでは麻薬カルテルに関連する暴力は多発しているが、今回のように国際的観光地で一般市民を標的とした銃撃は珍しい。事件は単なる治安問題にとどまらず、過去の銃撃事件が国境を越えて模倣される危険性を改めて示すものとなった。今後、当局は動機の全容解明とともに、再発防止に向けた対策強化を迫られている。

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