ラテンアメリカ2026年4月22日反政府ゲリラのドローン攻撃で軍兵士3人死亡 コロンビア 増永 建太郎 コロンビアでは2016年、政府とコロンビア革命軍(FARC)との和平合意が成立したものの、その後も合意に参加しなかった残存勢力や分派、麻薬カルテルなどが各地で活動を続けている。コロンビア陸軍の対ドローン部隊(Getty Images)コロンビア南西部で反政府ゲリラによるドローン攻撃があり、軍兵士3人が死亡、2人が負傷した。軍当局が20日、明らかにした。攻撃はエクアドル国境に近いナリーニョ州イピアレスで発生、「コマンドス・デ・ラ・フロンテラ」と呼ばれる武装組織が関与したとされる。軍は声明で、事件後も周辺地域での作戦を継続し、責任者の特定と排除に向けて攻勢を強化すると表明した。今回の攻撃は近年コロンビアで顕著となっているドローンを用いた戦術の拡大を改めて示すものとなった。コロンビアでは2016年、政府とコロンビア革命軍(FARC)との和平合意が成立したものの、その後も合意に参加しなかった残存勢力や分派、麻薬カルテルなどが各地で活動を続けている。これらの武装集団はコカイン生産地帯や資源豊富な農村部の支配を巡り、国軍や他の武装勢力と衝突を繰り返している。近年特に注目されているのが、安価な市販ドローンを改造した爆発物攻撃である。軍によると、写真撮影用の小型ドローンに爆発物を搭載し、目標に直接突入させる手法が多用されている。こうした技術は低コストで入手可能なため、非国家主体でも容易に戦力化できる点が特徴である。実際、国防省は2024年だけで軍に対するドローン攻撃が115件確認されたと報告し、ペトロ(Gustavo Petro)大統領も過去1年間にこれらの攻撃で兵士や警察官58人が死亡したと明らかにしている。従来は地雷や銃撃が中心だった紛争の様相が、急速に変化していることがうかがえる。政府はこうした新たな脅威に対抗するため、対ドローン装備の導入や監視体制の強化を進めようとしている。ペトロ氏は装備調達のため約7億ドルの資金確保を目的とする緊急経済令を出したが、憲法裁判所は議会承認を経ていないとして無効と判断した。このため対策の整備が遅れている。専門家はドローンの普及が紛争の非対称性をさらに高めていると指摘する。従来は国家が優位を持っていた空中戦力を、反政府勢力が低コストで補完できるようになり、戦闘のリスクが拡散しているためである。特に山岳地帯や密林などアクセスの難しい地域では、こうした無人機攻撃が効果を発揮しやすい。また、和平交渉の停滞も暴力拡大の背景にある。政府は複数の武装ゲリラと同時に対話を進める「全面和平」政策を掲げてきたが、一部勢力は交渉を離脱し、勢力拡大に動いている。結果として、国家の統治が及びにくい地域で治安の空白が生じ、武装勢力間の競争と暴力が激化している。今回の攻撃は単発の事件にとどまらず、コロンビアの治安環境が新たな段階に入ったことを示唆している。低コストで高い殺傷力を持つ技術の拡散により、紛争の様式は変化しつつある。政府が軍事的対抗策と政治的解決の両面でどのように対応するかが、今後の安定を左右する重要な課題となっている。