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メキシコの失踪者数増加、13万人超える=アムネスティ

アムネスティによると、失踪者の捜索に関わる人権活動家やジャーナリスト、市民団体のメンバーに対する脅迫や暴力が2025年も続いた。
2022年9月26日/メキシコ、南西部ゲレロ州イグアラ市、2014年の学生教師失踪事件の捜査を求めるデモ(Marco Ugarte/AP通信)

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは4月21日、メキシコにおける失踪者数の増加と、人権擁護者に対する攻撃の継続について強い懸念を示すレポートを公表した。同国では2025年末時点で失踪者数が約13万3500人に達し、依然として深刻な人権危機が続いている。

アムネスティによると、失踪者の捜索に関わる人権活動家やジャーナリスト、市民団体のメンバーに対する脅迫や暴力が2025年も続いた。とりわけ、行方不明者を自ら捜索する市民団体・グループは危険にさらされており、攻撃や嫌がらせの対象となっている。アムネスティはこうした人々が十分な保護を受けていない現状を問題視している。

メキシコでは2006年に始まった麻薬カルテル対策の強化以降、失踪事件が急増。近年では殺人件数が減少傾向にある一方、失踪はむしろ増加し、2025年には前年比で約10%以上増えた。 この傾向は暴力の形態が変化し、遺体の隠匿などにより事件の可視性が低下している可能性を示唆する。

また、同国では麻薬カルテルによる拷問・処刑・誘拐などの深刻な人権侵害が広く報告され、国際的にも問題視されている。アムネスティはこうした犯罪に対する捜査や処罰が不十分で、加害者が責任を問われない「不処罰」の状態が続いていると指摘した。

さらに、政府の対応についても批判が向けられている。当局は失踪者データの整理や捜索体制の強化を進めているが、記録の不備や調査の遅れが指摘されている。実際、登録された失踪者のうち相当数が情報を欠き、正式な捜査が行われていないケースも多い。

こうした状況の中、家族や市民団体が自ら捜索活動を行うケースが増えている。しかし、その活動は危険と隣り合わせで、麻薬カルテル、ギャング、犯罪グループだけでなく、時には当局との緊張関係にも直面する。アムネスティは政府がこれらの人々の安全を確保し、実効的な保護措置を講じる必要があると強調した。

またアムネスティはメキシコにおける人権状況が全体として悪化傾向にあると警告した。活動家や報道関係者への攻撃が続く中で、言論の自由や市民社会の活動空間も制約されかねない。こうした環境は失踪事件の真相解明をさらに困難にし、被害者家族の苦しみを長期化させる要因となっている。

アムネスティは政府に対し、失踪事件の徹底的な調査と加害者の逮捕、被害者家族への支援強化を求めるとともに、活動家の保護体制を抜本的に改善するよう訴えた。失踪者の増加と人権侵害の連鎖を断ち切るためには、制度的改革と政治的意思の双方が不可欠である。

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