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ドイツ、2026成長予測を下方修正、米イラン戦争の影響

経済省が22日に公表した新たな予測によると、2026年のGDP成長率は0.5%で、従来の1.0%から半減した。
ドイツ、首都ベルリンの国会議事堂(ロイター通信)

ドイツ政府は22日、2026年の経済成長率見通しを大幅に下方修正し、同時にインフレ率の見通しを引き上げた。背景には米イラン戦争の影響によるエネルギー価格の高騰があり、欧州最大の経済大国にもその余波が広がっている。

経済省が22日に公表した新たな予測によると、2026年のGDP成長率は0.5%で、従来の1.0%から半減した。さらに2027年の成長率見通しも1.3%から0.9%へと引き下げられ、景気回復の遅れが鮮明になっている。一方でインフレ率は2026年が2.7%、2027年が2.8%に上方修正された。

今回の見直しの主因はイランを巡る軍事衝突に伴う原油・天然ガス価格の上昇である。中東情勢の緊迫化によりエネルギー供給が不安定化し、燃料コストの増加が企業活動や家計を圧迫している。こうした外的ショックがドイツ経済の回復を鈍化させる要因となり、政府は「地政学的リスクが成長の重しになっている」との認識を示している。

ドイツ経済はすでに構造的な課題を抱えている。高いエネルギーコストに加え、中国などとの競争激化や保護主義の広がりが輸出産業に影響を与えてきた。輸出の本格的な回復は2027年以降になる見通しで、輸入の伸びが相対的に大きくなることで貿易黒字も縮小すると予想されている。

一方で、内需が一定の下支え要因となる。実質所得の回復や政府支出の拡大が消費を支えると見込まれているが、エネルギー価格上昇による購買力低下がその効果を相殺する可能性もある。実際、燃料価格の上昇は消費者心理を冷やし、個人消費の伸びを抑制する兆候も指摘されている。

こうした状況の中、政府は財政面での対応を迫られている。成長見通しの引き下げにより、いわゆる「債務ブレーキ」の枠内で追加借り入れが可能となり、約27億ユーロの財政余地が生まれるとみられる。ただし、景気の底上げには一時的な財政出動だけでなく、税制改革や規制緩和、エネルギーコストの抑制といった構造改革が不可欠だ。

国際機関や中央銀行も同様に慎重な見方を強めている。イラン戦争は世界のエネルギー供給を揺るがし、インフレ圧力を再燃させ、ドイツのみならず欧州全体の成長見通しにも影を落としている。

ドイツは今回の紛争に直接関与していないものの、エネルギー輸入依存度の高さゆえに影響を強く受けている。外的要因に左右されやすい経済構造が改めて浮き彫りとなる中、政府は競争力回復に向けた抜本的な改革を迫られている。成長鈍化と物価上昇が同時に進むリスクも指摘されており、今後の政策対応が経済の行方を左右する局面となっている。

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